2009年10月22日 環境・建設委員会 事務事業質疑「環境局」に対して

・質問の柱は下記の3つ

1.みどり率について

2.校庭の芝生化について

3.ビジターセンターについて

山下 私からは、まず東京と緑、という観点から、みどり率について質問をさせていただきます。東京における緑の量を表す指標として、都では現在、みどり率という指標を独自に設定して用いていますね。このみどり率は、従来、緑被率で表されていた部分に、公園内の緑で覆われていない部分と、河川等の水面が占める割合を加えて算定するものと理解しております。私はかつて環境学習リーダーの研修などの場を通じて、みどり率という言葉に何度か触れる機会がありましたが、都民の方々にとっては、みどり率という言葉自体、あまりなじみがないのではないかと思います。そこできょうの事務事業質疑では、まず、このみどり率を取り上げ、その基本的な考え方などを改めて明らかにしてまいりたいと考えます。さて、このみどり率、いつ、どのような考え方で導入された指標なのか、また、みどり率を導入することのメリットは何か、まず、お聞かせください。

木村参事 みどり率は、平成12年度から導入した指標でございます。緑が持つ年環境の改善、防災、生物の生存基盤などの機能を発揮させていく上では、水が漏っている役割も重要でございます。また、公園は、公園全体で緑が持つ機能を発揮しております。こうしたことから、都では従来の緑被率に河川等の水面の占める割合と、公園内の緑で覆われていない面積の割合を加えたみどり率を導入しています。これにより、緑が有するさまざまな機能を踏まえて、水と緑を総合的に把握する指標を持つことになったと考えております。なお、都の緑の環境の状況と施策を都民に紹介しております東京の環境2009等で、みどり率を使って緑の現状を紹介しております。

山下 わかりました。みどり率という概念には、緑で覆われた部分に加え、水面等の要素が含まれることから、水と緑の回廊で包まれた美しいまちを目指す東京の指標として、従来の緑被率に比べて、このみどり率のほうがすぐれていると私は思っております。ただ、このみどり率という概念が、区市町村のレベルまで広く普及しているとは言い難いのが現状です。私は以前、いくつかの自治体をピックアップして、みどり率の指標に対する問い合わせをしましたところ、緑被率を用いているケースのほうが多数を占めただけではなく、自治体の中には、みどり率という言葉すら担当者が知らない、といったケースも見られました。そこで伺います。都内の自治体におけるみどり率の現在の普及状況はいかがでしょうか。

木村参事 確かに区市町村では、緑被率というのを使っておりますが、当方で調べた範囲内でございますが、みどり率につきましても、現在、区部で15区、多摩地域でも12市がみどり率を算出し、公表しております。このように都内の各区市町村でも、みどり率の使用が普及してきているものと認識しております。

山下 みどり率が区市町村に徐々に普及してきているのは喜ばしいことと思います。私はかねてから、緑被率の算定周期が自治体ごとにまちまちだったり、また指標の精度自体にもばらつきがある、などの理由で、自治体間で緑の量を単純に比較できない、といった状況を問題視してまいりました。緑の量をはかるには、まず区市町村間で、緑に対する、いわば共通の物差しを持つことが重要と言えるでしょう。共通の尺度を持つことで、初めて緑の状況の比較が可能となり、それにより自治体間で、良い意味での競争原理が働くことになれば、都内全体で一層、緑化を進める力になるはずです。都にはぜひ今後、各区市町村に対して、指標としてのみどり率のさらなる普及を進めていただきたくお願いいたします。
 さて、現在、都は緑の東京10年プロジェクトを展開し、1000ヘクタールの新たな緑の創出を目標の一つに掲げて、海の森の整備や街路樹の倍増など、さまざまな施策に取り組んでいることと思います。環境局としても、1000ヘクタールの緑の創出に向けて、屋上緑化や都内の公立小中学校等における校庭の芝生化を推進していますね。このうち屋上緑化につきましては、先日の各会計決算特別委員会第三分科会で、都は緑化計画書制度により、平成13年度から昨年度までの8年間で、およそ103.9ヘクタールの新たな緑が屋上緑化で創出されたこと、また、既存の建築物の屋上緑化については、昨年度、モデル事業を実施して、現在、施設整備の留意点や導入効果などについて検証中であることを確認しました。
 そこできょうは、屋上緑化については、都市空間に緑を創出する有効な手法であり、今後も積極的に進めていただきたい、ということを要望するにとどめまして、続きましては、校庭の芝生化について、いくつか質問させていただきます。
 校庭の芝生化は、地表面の温度を低減させることから、ヒートアイランド現象の緩和が期待できるなど、意味のある取り組みだと思います。まず、現在、都内の公立小中学校では、どの程度、校庭の芝生化が進んでいるのでしょうか、お答えください。

大村自然環境部長 都は、東京を緑あふれる都市へ再生するとともに、子どもが体を動かす喜びを味わえる環境を創出するため、校庭の芝生化を推進しているところでございます。都内の公立小学校での校庭の芝生化は、補助を実施する前の平成16年度では17校でございましたが、平成20年度末では120校となっております。

山下 都内の公立小中学校では、環境に配慮した設備整備が進められていると聞いております。環境への配慮という点から言いますと、校庭の芝生化については、緑化の推進やヒートアイランド対策として評価できますが、芝生の生育と維持管理のためには、かなりの量の水が必要になりますね。ですから、今後、全公立小中学校を対象に校庭の芝生化を進めていくとしますと、水資源に配慮することも重要だと考えます。私は校庭の芝生化を図るなら、同時に雨水の利用などを推進する必要があると常々考えてまいりました。そこで、この校庭の芝生化と水対策につきまして、お考えを伺います。

大村自然環境部長 都は区市町村に対しまして、校庭の芝生化のための工事費や維持管理費を補助しております。芝生への散水は上水道の利用、雨水の利用、またプールで使用した水の利用など、各学校のいろいろな条件によりさまざまでございます。都はこれまでも、芝生化の工事に合わせまして雨水タンクの設置等にも補助をおこなっているところでございます。今後、雨水の有効利用につきまして、区市町村に対し、具体的な事例を紹介していくとともに、それぞれの学校の状況に応じた支援をおこないまして、芝生化を推進してまいりたいと思います。

山下 ありがとうございます。芝生化の推進では、ぜひ雨水利用を区市町村にPRするなど、水資源についても配慮して進めていただきたいと思います。
 ところで、校庭の芝生化は、芝刈りなど維持管理作業に手間がかかるところがありますが、学校によっては、保護者や町会など、地域の方々が芝刈り作業を手伝っている、といった話も耳にします。地域の方々が一緒になって芝生の維持管理作業をおこなうことで、地域の和も生まれるのではないでしょうか。環境とコミュニティの一石二鳥と言えるかもしれません。地域のこうした取り組みを促すことも踏まえた上での芝生の維持管理というのはいかがでしょうか。

大村自然環境部長 校庭の芝生化を推進するためには、地域の皆さんと連携して芝生の維持・管理をおこなっていくことが非常に重要だと考えております。都は校庭の芝生化にかかる整備工事費などにつきましては、通常、対象経費の2分の1を補助しておりますが、芝生の管理を地域が共同しておこなう場合は全額、補助をすることといたしておりまして、地域の連携を促しているところでございます。また、維持管理に携わる地域の方々を対象に講習会を開催するとともに、専門的なアドバイスをおこなう校庭芝生グリーンキーパーを派遣しております。今後とも地域と連携した校庭の芝生化を支援してまいります。

山下 校庭の芝生化を通して、地域における環境意識も高まると思います。今後とも、多くの地域で学校を核とした心の通う環境コミュニティを築けるよう、地域の取り組みを支援していただくことを要望いたします。
 さて、これまで都市と緑という観点で話を進めてまいりましたが、次は雄大な自然環境、その中にあるビジターセンターについて伺います。
 東京には2000メートル級の山岳地帯から丘陵地、そして伊豆諸島や亜熱帯気候の小笠原諸島まで、豊かな自然があふれています。そこには国立公園や国定公園などの自然公園が広がっており、そこでの環境学習施設としてビジターセンターが存在します。現在、どこにビジターセンターがあって、どのような活動をしているのか、まずお聞かせください。

大村自然環境部長 自然公園を訪れる都民に、自然や歴史、文化などの情報をわかりやすく展示、解説することを目的といたしまして、御岳、奥多摩、山のふるさと村、高尾、小峰、八丈、小笠原の7つのビジターセンターが設置されております。各ビジターセンターはパネルや標本の展示、パンフレットの発行などによりまして、地域の特徴的な情報を提供するとともに、解説員によるガイドウォークや各種自然教室の開催を通しまして、自然と触れ合う機会を提供しております。

山下 7つのビジターセンターのうち、小笠原ビジターセンターは、小笠原諸島の世界自然遺産登録に向けて、その普及啓発の場として、重要な役割を担うものと思います。世界遺産登録に向けての小笠原ビジターセンターの取り組みなどを紹介してください。

大村自然環境部長 世界自然遺産登録に向けましては、その自然環境を保全することが重要であるために、小笠原の地元の住民の方や観光客の理解を得ることが不可欠でございます。このため、小笠原ビジターセンターでは、世界的な価値がある小笠原諸島特有の自然環境を解説するパネルや標本の常設展示に加えまして、世界遺産に関する特別展や外来種の生態や対策に関する特別展を連続して実施しますとともに、国や村、各種団体と連携しまして、外来種対策や稀少種に関する講習会を開催してまいります。

山下 世界遺産登録に向けて、小笠原ビジターセンターが引き続き重要な役割を果たしていくことを期待しております。
 一方、目を山のほうに転じまして、青梅市には御岳山があります。今年度、山頂を取り巻くように新たな回遊ルートが開設された御岳山には、四季を通じて多くの人が訪れています。私も春の新緑、夏を彩るレンゲショウマの群落、秋の紅葉と荘厳な神楽の舞い、冬の雪景色などに御岳の魅力を感じております。この御岳山にあるビジターセンターでも、地域の魅力を生かした取り組みがおこなわれていますね。具体的にいくつか紹介してください。

大村自然環境部長 御岳ビジターセンターでは、御岳山の自然や地域特性を生かしまして、宿坊に宿泊して、夜行性のムササビを観察する会、眺望のよい山頂付近で中秋の名月を観察しながら虫の音を聞く会、岩と水が織り成す美しい自然が見られますロックガーデンで地形や地質を学ぶ会、レンゲショウマの花を知る、見る、描く催しなど、各種の自然教室を開催しております。

山下 御岳山はこのところ朝晩の冷え込みで、山頂付近からそろそろ紅葉が始まってきています。御岳ビジターセンターの年間予定表によりますと、これからの時期、しっとりと楽しむ御岳山の紅葉ですとか、カップルで楽しむ初めての冬のアウトドアなど、興味深い催しがいくつも企画されています。お子さんからカップル、定年退職を迎えた世代、、そして年配の方まで、さまざまな世代が楽しめる催しをさらに多く企画していただきたいと思います。都のお考えを伺います。

大村自然環境部長 御岳山はケーブルカーを使うことで、小さなお子さんでも年配の方でも容易にアクセスできるところでございます。こうした恵まれた条件を生かしまして、4〜5歳児とその保護者を対象とした山の幼稚園、女性を対象に自然散策のきっかけをつくる女性のためのスローウォークなどの自然教室を今年度も新たに企画いたしております。今後とも幅広い世代に環境学習の機会を提供してまいりたいと考えております。

山下 ありがとうございます。幅広い世代が御岳ビジターセンターを訪れて、環境について知識を深めるとともに、御岳山に来てよかったと実感していただけることを願っております。世界遺産を目指す小笠原やただいま取り上げました御岳だけでなく、東京のビジターセンター全体での地域の特徴を生かした環境学習活動の積み重ねが、東京の環境を守っていくムーブメントにつながることと思います。大いに成果が上がりますことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。