2011年11月24日(木) 公営企業委員会 事務事業質疑
水道局に対する質疑

山下ようこ それでは、私からは、まず、東京の水道の水源地域に注目して、質問をさせていただきます。
先日、私は奥多摩町に行ってまいりました。山々の紅葉が美しく、東京の西の奥座敷と言うにふさわしい、趣のある季節の装いを見ることができました。
奥多摩町には、都民の貴重な水がめ、小河内ダムがあり、さらに、その周辺や、山梨県にまたがる多摩川上流域には、東京都水道局が管理する広大な水道水源林があります。
この水道水源林は、今からおよそ100年前、乱伐によって木々が失われた山林を当時の東京府が国から譲り受け、水道局が植林、間伐などをおこなうことによって、緑豊かな森林に生まれ変わったものであると聞いております。
昭和32年に完成した日本最大の水道専用ダム、小河内ダムが、ほぼ同じ時期に建設されたほかのダムと比較して、土砂の堆積も少なく、良好な状態に保たれているのは、この水道水源林の存在が大きく関係していると考えられます。
そこで、多摩川上流の小河内ダム、及び水道水源林が果たす役割について伺います。

酒井晃・浄水部長 健全な状態の森林は、主に3つの機能を持っております。1つ目は、水を土壌の中に十分蓄えることにより、洪水や渇水を防ぐ水源涵養機能。2つ目は、樹木の根が山の土をしっかりと押さえることにより、土壌の浸食や山崩れを防ぐ土砂流出防止機能。3つ目は、水が土の中を浸透する間に不純物を取り除く水質浄化機能でございます。水道局では、これらの3つの機能を十分に発揮させるため、水道水源林を良好に保護、育成することにより、流入河川の保全や小河内貯水池の堆砂の軽減等を図っております。
小河内貯水池は、東京の貴重な水源であり、将来にわたり安定給水を図る上で重要な役割を担っております。

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山下 水道水源林の役割について、まとめていただきました。水道水源林の意味、重要さがわかりました。
ただ、それだけに、近年の水源地域の民有林の荒廃は問題です。林業の不振などにより、手入れの行き届かない山が増加し、平成19年9月に発生した台風9号では、大量の土砂と流木が川や小河内ダムに流入し、水の濁りが翌年まで続くという事態が発生しました。
水道局は、これまでに多摩川水源森林隊を設立して、ボランティアと一体となった民有林保全活動をおこなっていると聞いておりますが、それだけでは追いつかないほど、民有林の荒廃が進んでいるのが現状です。
こうした状況を改善するために、水道局では、昨年度、民有林を試験的に購入する「民有林購入モデル事業」を開始したと承知しております。新聞報道などもおこなわれ、注目されている事業であると考えます。そこで、このモデル事業の進捗状況を伺います。

酒井部長 この事業は、小河内貯水池上流域の管理が不十分で、所有者が手放す意向のある荒廃した民有林を購入し、水道水源林として適正に管理することで、小河内貯水池の保全を図ることを目的としております。
昨年度は、山林所有者から申し込みを受け付け、要件に合致した案件について、専門家などによる委員会で審査をおこない、3件を購入対象山林として選定したところでございます。
当該案件につきましては、現在購入に向け、隣接土地所有者の特定や境界確認などの作業を進めておりますが、この一連の作業は、市街地での境界画定作業などに比べると面積が広大であり、地形が厳しいことなどから、購入に至るまでには時間がかかると考えております。

山下 相続など所有者の世代交代などもあり、境界線画定は根気のいる作業であると思いますが、ぜひ、モデル事業の名にふさわしい、全国のモデルとなるような成果を上げていただきたいと思います。
ところで、水道水源林は、都民の命をつなぐ水を守る、というだけでなく、二酸化炭素・CO2吸収機能を保有することから、広く地球環境への負荷低減にも貢献しています。
水道事業は、送配水の際に電力を使用するため、地球環境に負荷の与える事業であると言えます。実際、水道局の電力使用量は年間、およそ8億キロワットアワーで、これは都内の全電力使用量のおよそ1%に相当します。
東京都は、環境確保条例を改正し、平成22年度から都内の大規模事業所に対して、温室効果ガスの総量削減を義務化しており、より一層、環境負荷低減への社会の意識も高まってきていると言えます。そこで、水道局のこれまでの環境負荷低減のための取り組みと、その効果について伺います。

黒沼靖・企画担当部長 水道局では、環境負荷低減対策としまして、ポンプ設備等の省エネ化や総合的なエネルギー管理による水運用の実施といったエネルギーの効率的利用を図るとともに、太陽光発電設備や小水力発電設備の導入などによる再生可能エネルギーの有効活用などの対策を積極的に実施しております。
このような取り組みの効果としまして、平成22年度実績では、二酸化炭素の排出量を約3,500トン抑制しております。

山下 よくわかりました。では、今後、環境負荷の低減とCO2削減のために、どのように取り組んでいくのか、伺います。

黒沼企画担当部長 東京都水道局環境計画では、環境基本方針の1つに地球温暖化防止のさらなる推進を掲げ、平成22年度から3カ年で取り組む具体的な事項と目標を定めております。この計画に基づきまして、エネルギーの効率的な利用や再生可能エネルギーの有効活用、お話にございました水道水源林の保全管理、さらには水資源の有効利用としての漏水防止対策の推進などに着実に取り組みまして、引き続き環境負荷の低減と二酸化炭素の削減を図ってまいります。

山下 わかりました。ただいまのご答弁の中に、環境負荷の低減やCO2削減につながるものとして、漏水防止対策がありました。
漏水防止と言えば、水道局が鉛製の給水管からステンレス管へ取り替えるなどの取り組みを積極的に実施してきた結果、漏水率が2.7%まで低下した、と認識しております。
そこで、漏水率の低減による水資源の有効利用やCO2削減への貢献について伺います。

今井茂樹・給水部長 公道下の給水管をステンレス鋼管に取り替え始めた昭和55年度の漏水率は15.4%でございました。しかし、現在では世界において最も低い水準である2.7%まで減少しております。昭和55年度と現在の漏水率を比較いたしますと、12.7%低減しております。
漏水削減量は2億3,600万立方メートルで、この量は東京ドームの約200個分となります。これをCO2削減量に換算いたしますと47,700トンとなり、また、自動車のCO2排出量に換算いたしますと、約44,000台分に相当いたします。


山下 環境負荷低減のために、漏水防止対策がいかに重要であるかがわかりました。
漏水を防止するためには、予防することとともに、漏水が起こった場合のできるだけ早い時期での発見が必要であると考えます。それは地下の普段目に見えないところのものだけに、まさにプロフェッショナルの領域ではないかと思います。
漏水の予防と発見の、それぞれの技術について伺います。

今井部長 漏水予防の技術といたしましては、漏水発生の大部分を占める鉛製給水管を更新するために、材質強度に富むステンレス鋼管の配管システムを開発いたしました。さらに、道路荷重や振動を吸収できる波状管への改良などを積み重ね、漏水しにくい管路への更新を実施いたしております。
漏水発見の技術につきましては、相関式漏水発見装置などの機器の開発と改良をおこなう。それとともに職員の技術力向上のために、経常的に研修や訓練を実施してまいりました。
また、技術の確実な継承を目指して、ベテラン職員が後輩職員に対して、指導や助言をおこなう東京水道エキスパート制度を導入して活用しております。


山下 東京都水道局のすぐれた技術に支えられての、世界に誇れる低い水準の漏水率であることがわかりました。「匠の技」とも言える水道技術の継承、人材の育成に力を入れ、これからも環境負荷低減を図りつつ、本来の事業である安全でおいしい水道水の供給に努めていただきますようお願いして、質問を終わります。



2011年11月24日(木) 公営企業委員会 事務事業質疑
交通局に対する質疑

山下ようこ それでは、私からは、まず交通局のバス事業について伺います。
私は、地元の青梅市内の移動の際、都営バスを頻繁に利用しております。地域の人からは「都議は都バスでやってくる」という合言葉まで聞かれるほどになっております。青梅市内では市街地から離れた起伏のある地域に向かうルートも多く、都営バスは、私の活動に欠かせない足となっています。
ただ、いつも気になるのは、乗客が少ないということで、経営状況が心配になります。
都営バス全体の1日の平均の乗客数は、昭和47年度の130万人がピークで、以後、自家用車の普及や地下鉄の新しい路線の開業などに伴い、減少傾向であると認識しております。
バス事業の収支を見ますと、平成16年度から、経常損益は黒字となっていますが、営業損益は一貫して数十億円の赤字になっています。
そこで、まず、都営バスの黒字路線と赤字路線の割合について伺います。

岡本恭広・交通局バス事業経営改善担当部長 平成22年度決算では、都営バス139系統のうち、黒字が50系統、赤字が80系統であり、その割合は黒字が約3分の1、赤字が約3分の2となっております。赤字の系統の中には、代替交通機関がない路線や、地域にとって必要であり、地元自治体が赤字を負担することを前提として運行している路線などがございます。

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山下 都営バスは、都民にとって身近で、かつ地域の足として必要な交通機関であり、経営上、採算が合わないからと言って、安易に廃止することができない、ということもよくわかりました。
それならば、少しでも赤字額が縮小するような経営に努める必要があると考えます。
厳しい経営状況の中、都民の足を確保するために、どのような工夫をしながら、事業展開しているのか、伺います。

都営バスでは、オフィスや大規模住宅の開発や鉄道網の整備などによる乗客潮流の変化を的確にとらえ、需要に見合った路線の見直しをおこなっています。今後とも、お客様のニーズに合わせた運行ルートやダイヤの見直しなど、都民の足の確保に配慮してまいります。

山下 わかりました。今後も、需要を常に把握しながら、路線やダイヤの見直しをしていただきたいと思います。
ところで、バスは、近くの停留所から乗り降りできる、便利な公共交通です。高齢化が進む中、自家用車の運転や自転車での移動を控えて、バスの利用に切り替える人もいますし、また、シルバーパスで乗車できることも、高齢者に便利な乗り物と言えるでしょう。
そこで、高齢者にやさしい交通機関であるために、交通局は、どのような取り組みをおこなっているのか伺います。

土岐勝広・自動車部長 都営バスにおける高齢者対策についてでございますが、まず、バス車両におきましては、平成11年度から更新する車両のすべてを、乗り降りしやすいノンステップバスとしており、本年10月末現在、バス車両1,461車両中、1,402両、約96%がノンステップバスとなっております。引き続き経営計画ステップアップ2010に基づき導入を進め、平成24年度には、導入割合を100%とする予定でございます。
また、停留所において、上屋やベンチの整備を進める一方、乗務員に対し、高齢者体験器具を用いた疑似体験研修を実施し、接遇能力と意識の向上を図っております。今後とも、だれもが安心して快適に都営バスをご利用いただけるよう取り組んでまいります。

山下 ところで、バスや鉄道などの公共交通機関は、特に東京のような人口が過密な都市において、自家用車に比べてエネルギー効率が極めて高く、環境にやさしい交通手段であると言われます。
21世紀は環境の世紀とも呼ばれ、環境負荷低減が、全地球的な課題であることは言うまでもありません。
そこで、交通局の環境施策について伺います。

広瀬健二・企画担当部長 交通局では、CO2排出事業者として環境対策の強化が求められていることから、所管する事業における環境負荷の低減に取り組んでおります。
具体的には、都営地下鉄及び都電荒川線への省エネルギー車両やハイブリッドバスなど最新技術を用いた低公害車両の導入を進めているとともに、施設の整備に当たりましては、屋上や壁面の緑化を実施しております。また鉄道やバスなど公共交通機関は、環境に優しい交通手段として利用促進が求められていることから、ICカードを利用したポイントシステムを導入するとともに、交通局の環境に対する取り組みや公共交通の環境優位性をPRし、都営交通の利用を促進することにより、環境負荷低減に努めているところでございます。今後とも、環境に優しい都営交通の一層の利用促進を図るとともに、さらなる環境負荷低減に取り組んでまいります。

山下 交通局の環境負荷低減のための取り組みはわかりましたが、今年の東日本大震災によって、環境対策の中でも、特に省エネ・節電のための方法がクローズアップされるようになりました。
電車は、その名の通り、多量の電力によって走るものであり、それだけに、省エネ技術の導入が欠かせないと考えます。
交通局が取り入れている電力削減のための技術について伺います。

石井明彦・車両電気部長 都営地下鉄の車両の省エネ技術としましては、代表的なものとして車両の軽量化と電力回生システムの2つがございます。車両の軽量化は、車体の材料にアルミニウムやステンレスなどの軽い金属材料を用いて車両の軽量化をおこなうことで、消費電力を削減するものであります。もう1つの電力回生システムは、電車を走らせるためのモーターをブレーキのときには発電機として動作させることで、電車の走行エネルギーを電力に変換して変電所側に送り返す技術であります。電車から返された電力は、ほかの電車の運転に利用したり、駅の照明やエスカレーターなどの電源として再利用しております。今後とも、地下鉄車両に省エネ技術を導入することにより、節電に努めてまいります


山下 わかりました。ところで今年は省エネ・節電とともに、自然を活用した再生可能エネルギーへの注目度が、一段と大きくなりました。豊かな水を利用する水力発電は、その代表であり、日本で古くから行われている発電方法の重要さに、人々は今、改めて気付いているのではないかと思います。
水力発電と言えば、交通局は昭和32年から半世紀以上にわたって、西多摩地域で水力発電事業を展開してきていると認識しております。
水力発電への取り組みと実績について伺います。

奥津佳之・技術開発担当部長 水力発電は、発電する際に二酸化炭素を排出することがなく、再利用可能な自然の恵みである水を最大限活用したクリーンエネルギーでございます。交通局では多摩川の流水を利用いたしまして、多摩川第一発電所、多摩川第二発電所、白丸発電所の3カ所で水力発電をおこなっております。この水力発電によりまして、平成22年度は、15万5,203メガワット時、一般家庭のおよそ4万3,000世帯分に相当する電気を供給することができました。今後とも、自然エネルギーを活用し、水力発電によりまして電気の安定供給に取り組んでまいります

山下 わかりました。電車やバスなどで様々な環境施策を実行している交通局が、さらに自然エネルギーを活用した水力発電をもおこなっていることは、高く評価できると考えます。
世界の大都市でありながら、豊かな自然にも恵まれている東京。交通局が都心部の交通網だけでなく、山あいの地域にバス路線を保有していることも、東京の特徴の表れと言えるかもしれません。
これからも、便利で、なおかつ高齢者にも地球環境にも優しい都市、東京であるための交通局の皆さんの取り組みに期待をして、私の質問を終わらせていただきます。