議会報告1のリポートに記載されていない委員会質疑を中心にお届けします

2010年3月16日(火)環境・建設委員会 [環境局の予算等、事業に関する質疑全文]

*小笠原諸島の世界自然遺産への登録推進〜小笠原をガラパゴスのようにしてはならない!

山下ようこ それでは私からは、はじめに小笠原諸島の世界自然遺産登録に関して質問させていただきます。 
今年1月26日、小笠原諸島の世界自然遺産登録の推薦書が、ユネスコ、国連教育科学文化機関に提出されました。今後は、今年の夏、ユネスコの諮問機関である国際自然保護連合による現地調査などを経て、来年夏には、登録の可否が決まる予定と聞いております。 
小笠原諸島は、東京の南、およそ1000キロの太平洋上、大小30余りの島々からなり、これまで大陸と地続きになったことがない海洋島であることから、固有の動植物が生息・生育して、独自の生態系を創り上げていることは、ここにいる皆様、ご存知の通りです。
東京と言えば、世界的な大都市ですが、その一方で、小笠原諸島のように、世界でも類を見ない自然があることは、東京都民として誇らしいことと思います。世界遺産登録をきっかけとして、小笠原諸島の知名度が上がることは、喜ばしいことと思いますが、観光客が増加して、自然環境に悪影響を及ぼすことも想定されます。こうした影響を予測して、今から対策を講じておくことが必要と考えます。
 そこでまず、ガラパゴス諸島など、すでに登録されている世界自然遺産について、登録後に生じた自然へのマイナスの影響を伺います。

大村雅一・自然環境部長 昭和53年、1978年でございますが、世界で最初に世界自然遺産に登録されましたガラパゴス諸島につきましては、ユネスコが平成時19年に世界危機遺産リストに登録をおこないました。ユネスコによりますと、その理由は、観光客の増加と、それに伴う移住者の増加に伴いまして、ガラパゴス独自の生態系が脅威にさらされているから、ということでございます。

山下 ガラパゴス諸島では、観光客の増加による生態系の変化によって、生物多様性などの遺産価値が危険な状態にさらされていることを示す「世界危機遺産リスト」に登録された、とのことですから、「東洋のガラパゴス」と呼ばれる小笠原諸島でも、同じようなことが起こりかねません。 たとえば、観光客の増加によって、歩道ぎわの踏み固めやゴミ捨てなどの不適切な行為が増えることも懸念されます。
 また、世界自然遺産に登録されることによって、オガサワラシジミやアサヒエビネなどの固有種が広く知れ渡り、密猟や盗掘などが増えたりしないか、気掛かりです。
 小笠原諸島では、何としても、このようなことが起こらないようにしていただきたいものです。
 そこで、小笠原諸島では、観光客の増加が自然環境に悪影響を及ぼさないようにするために、登録を見据えて、どのような対策を講じているのか、また今後、講じていくのか、伺います。

大村部長 世界遺産の推薦にあたりましては、ほかの事例を参考に対策を検討いたしまして、国立公園における特別保護地区の拡張など、保全策を強化いたしますとともに、小笠原全体の自然環境を保全するための管理計画を策定いたしました。
 観光客の増加に対しましては、観光と自然環境の保全の両立を図るために、利用人数や利用ルートを定めました東京都版エコツーリズムの推進や自然観察ルートの徹底などに取り組んでおります。
 また、動植物の密猟対策といたしまして、希少動植物の捕獲や採取の禁止などの観光客への注意喚起と、都レンジャーによります巡回や指導を実施しております。
 世界遺産に登録されましたあとも、引き続き関係機関と連携しまして、自然環境の保全に取り組んでまいります。

山下 他の事例を踏まえて、対策を講じていることは理解いたしました。
 小笠原諸島の自然を将来に渡って保全していくためには、ただ今、答弁いただいたような対策を着実に進めることが重要と考えます。
 平成22年度予算案を見ますと、世界遺産登録推進事業として、およそ2億5000万円が計上されています。具体的には、どのような事業をおこなうのか、伺います。

大村部長 平成22年度の事業でございますが、植生回復事業、外来種対策、自然環境の変化を把握するモニタリング調査、普及啓発用の案内板の設置などを実施する予定でございます。

山下 引き続き、しっかりと対策に取り組んでいただくことを要望するとともに、小笠原諸島が来年の夏、世界自然遺産に登録されることを期待して、次の質問に移ります。

*都市型キャップ&トレード〜世界初の制度に期待する!

山下 続いてはキャップ&トレード制度について伺います。 東京都では、いよいよ4月1日、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ&トレード制度がスタートしますね。
 全国に先駆けた罰則を伴う制度であり、産業界に対しては、これまでのように自主的な削減対策から「総量削減」という新たな政策への発想の転換を促す契機になるものとして、その先見性を高く評価させていただきます。
 一方、世界に目を転じますと、2005年に先陣を切ってEU諸国で導入されたEU−ETSや、去年、アメリカ北東部10州に導入されたRGGI、いわゆるレッジが実際に運用されているほか、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国などでも、導入に向けた検討が始まっていると聞いております。
 今回、東京都が国の制度導入に先駆けて始めるキャップ&トレードは、諸外国の先行事例と比較して、どのような特長を持つのか、また国内外におけるキャップ&トレードの導入に向けた検討の中で、都の制度導入は、どのような意義があるのか、まず伺います。

大野輝之・理事 都制度は、オフィスビルなどの業務系施設をも対象とするものでございまして、この点では世界で初めての都市型のキャップ&トレードであるという特長を持っております。
 先般、今国会に提出される予定の温暖化対策基本法案が閣議決定されましたが、排出量取引の導入については規定がございますが、肝心の総量削減義務を導入するかについては、極めてあいまいなままになっていると思っております。
 都は、都内の事業者の皆さんと連携いたしまして、都のキャップ&トレード制度が効果を示すことを通しまして、国における実効性のある制度の実現を促進していきたいと考えております。

山下 日本国内だけでなく、世界的に見ても、東京がキャップ&トレード制度を導入する意義が非常に大きい、ということが、よくわかりました。
 次に、都のキャップ&トレードにおける対象事業所について伺います。
 都の制度で義務の対象となるのは、前年度のエネルギー使用量が、原油換算で1500キロリットル以上の大規模事業所であり、オフィスビル、工場など、個々の事業所単位ごとに、Co2 排出量を把握し、毎年、報告を求める仕組みとなっています。
 一方、国の試行排出量取引スキームは、事業所単位だけでなく、企業や業界団体を単位とする参加が認められており、参加者が選択できる仕組みとなっています。
 都のキャップ&トレード制度が事業所単位を採用するメリットは何かを伺います。

大野理事 実効性のある制度を実現する上で最も大切なことの一つは、Co2 の排出量と削減量を正確に把握することでございます。省エネ法でございますとか、改正された地球温暖化対策推進法など、あるいは、その試行スキームなどでは、企業単位の集計方法を認めているわけですが、こうしますと、小規模な多数の事業所の排出量もカウントしなければ企業全体の排出量が出ない、ということになります。
 このため、都の制度では、排出量のモニタリング、報告、検証を最も確実におこなうことができる大規模な事業所単位、というふうにしております。
 また、事業所単位の把握方法は、個々の事業所ごとの排出削減に向けた取り組み状況が明らかになる、という点でもすぐれていると考えております。

山下 事業所単位で取り組み状況を把握するメリットがよくわかりました。
 続いては、排出量取引について伺います。
 今回の制度は、5年間の計画期間の中で、中期的な視点を持って、まずは自らの削減対策をおこない、総量削減義務を達成できない場合には、義務の履行手段として、排出量取引制度を活用できる仕組みとなっています。
 しかし、都内のCo2 排出量を大幅に削減するためには、過度に排出量取引に依存するのではなく、できる限り、自らの省エネ対策で義務を履行するよう誘導する必要があると考えます。そこで、排出量取引を導入する意義を改めて伺います。

大野理事 排出量取引制度を導入するに関しましては、条例改正時の当委員会のご審議でも答弁させていただいておりますけれども、改めてお答えをさせていただきます。
 排出量の削減対策としての設備改修は、事業所にとりまして光熱費の削減というメリットを得るものでございますが、大規模な設備改修は、それだけ初期投資が高くなるために、回収にかかる期間が長期化する、という傾向がございます。
 排出量取引を導入しますと、大規模な設備改修によってCo2 の総量削減が実現した場合、その削減分を排出量取引で売却することが可能になります。これによって、初期投資の回収を早めることが可能になるということでございます。つまり、排出量取引は、これまでおこなわれづらかった大規模な省エネ改修を促進する効果があると考えております。
 このように排出量取引制度の導入は、事業所に、削減対策に率先して積極的に取り組むインセンティブを与えるものでございます。また、削減義務の履行の方法につきまして、事業所に選択の余地を増やし、柔軟な対応を可能にするという意味も有するものと考えております。

山下 以上、都のキャップ&トレードの特長と、その導入意義について、改めて確認させていただきました。
 排出量取引については、隣りの埼玉県でも、導入に向けた検討が進んでいると聞いております。ぜひ、今後は他の自治体との連携も図っていただきたいと思います。
 東京都が、世界初の都市型キャップ&トレードとして、確実に削減実績を上げ、成功事例として、国内はもとより世界の大都市にも積極的に貢献していきますことを心より期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

2010年3月18日(木)環境・建設常任委員会 都議会民主党を代表して、山下ようこ意見開陳

私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成22年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。

 一般会計の予算規模は、大幅な税収減を受けて、前年度比5.1%減の6兆2,640億円で、2年連続の減となりました。しかし、約6,000億円もの税収減に対しては、基金の取り崩し、都債発行増で歳入を確保し、歳出における公債費、税連動経費、基金積立の減などにより、給与関係費を除く経常経費については前年度比3.9%増の2兆2,232億円、投資的経費については前年度比4.7%増の8,137億円を確保しています。

 事務事業評価においても、140件を見直し・再構築することによって約200億円を確保するとともに、歳出の精査によって約1,200億円の事業費を削減しています。
こうした堅実な財政運営については、基本的に評価いたします。

 個々の施策においては、昨年の都議選において都議会民主党が掲げた、医療・福祉・介護、仕事・中小企業、住まい・防災、学び・子育て、環境・エネルギーの5つの分野について前向きな姿勢が示されています。昨年末に要請した「重点要望事項」については、前年度比22.3%増の約5,000億円が予算化されました。
 とりわけ、「小児医療」や「医療提供体制の確保」については、多くの事業が「新規事業」あるいは「拡充事業」として予算化されています。

 しかし、懸案の私学助成や出産・育児一時金の上積みは計上されておらず、私立幼稚園等就園奨励特別補助においても、負担増の三分の一が残されています。「八ッ場ダム」についても、過去の実績などに基づいたとされる予算額が計上されています。

 中央卸売市場会計には、「豊洲新市場の整備」として、土地取得費を含む1,281億円の予算が計上されています。都議会民主党は、この間の本会議、予算特別委員会、常任委員会において、様々な角度から議論させていただきましたが、都側からは満足できる回答はありませんでした。既に、修正案の策定に入っており、予算特別委員会での提案に向けて粛々と準備を進めさせていただきます。

 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局に係る事項について申し上げます。
 
 まず、環境・建設両局に関わる事項について述べさせていただきます。
一、指定管理者の指定に当たっては、制度導入の趣旨を踏まえ、民間セクターの活用を促進し、公平・公正を期すること。

 次に、環境局関係について申し上げます。
一、企業の温暖化対策を推進するため、大規模事業所に対する温暖化ガス削減義務と排出量取引制度を着実に実施するとともに、その実施状況や効果について明示し、都の制度の全国的な普及拡大に努めること。また、地球温暖化対策報告書の活用や省エネ促進・クレジット創出プロジェクトなどにより、中小規模事業所の地球温暖化対策の底上げを図ること。
一、企業・団体と連携した省エネ診断員制度の推進等により、家庭での省エネ・節電対策を促進すること。
一、太陽エネルギーの利用拡大に向けて、国や区市町村などとも連携した支援の充実に努めること。また、太陽エネルギー以外の再生可能エネルギーの利用拡大に向けて取り組むこと。
一、運輸部門でのCO2削減に向けて、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(pHV)の購入補助や低燃費車の利用を促す取り組みを進めること。また、エコドライブの普及拡大を図ること。さらに、自転車への利用転換を図るなど、自動車に依存しないまちづくりを進めること。
一、産業廃棄物の不法投棄を防止するため、産廃Gメンによる監視体制を強化すること。また、レアメタル、レアアースのリサイクルを推進すること。
一、大気汚染物質のさらなる排出削減に向けて、大気中微小粒子(PM2.5)に関する調査を実施すること。また、船舶からの排出ガス削減に向けて、陸上電力の供給の効果を検証すること。
一、土壌汚染対策として、中小事業者の負担軽減に向けて、ガイドラインの策定や簡易迅速分析法の確立を図るとともに、都民に対する情報提供の仕組みづくりに取り組むこと。
一、緑の保全と再生に向けて、緑化計画書制度や開発許可制度の強化・充実を図ること。また、校庭芝生化事業をはじめ、駐車場や都市の隙間に着目した緑化の推進を図ること。
一、東京湾や中小河川の水再生に向けて、水生生物の保全のための必要な調査を実施するとともに、干潟の保全・再生などを通じて、赤潮・青潮対策に取り組むこと。また、水収支調査の結果を踏まえ、水循環の推進に向けた新たな施策を構築すること。
一、森林や丘陵地の保全に向けて、多摩の森林再生事業を着実に実施するとともに、保全緑地の公有化を推進すること。また、生物多様性地域戦略の推進を図るとともに、小笠原諸島の外来種対策など、世界自然遺産登録推進事業を進めること。

 次に、建設局関係について申し上げます。
一、幹線道路ネットワークの整備を推進するために、中央環状線、外環本線をはじめ、都市の骨格を形成する幹線道路や地域幹線道路の整備を進めること。また、将来の交通需要を踏まえつつ、必要性などに関する客観的なデータを公表するなどして、より優先度の高い道路の整備が進むよう取り組むこと。
一、環状第2号線(築地地区)の整備については、築地市場問題の今後の推移に特段に配慮すること。
一、多摩地域における道路整備においては、工事の施工及び道路計画の存在に伴う生物・生態系の変化の内容やその程度について、詳細な調査・検討の実施に努めること。
一、京浜急行本線・空港線やJR中央線・南武線など、鉄道の連続立体交差化事業を推進するとともに、西武線や京王線での調査を進めること。
一、是政橋などの橋梁整備を進めるとともに、橋りょうの長寿命化や耐震補強を着実に実施すること。また、勝鬨橋の再跳開に向けて、調査・検討をすること。
一、街路樹の充実・育成など、道路の緑化を推進すること。また、遮熱性舗装や街路灯の省エネ照明への転換など、環境に優しい道路整備に取り組むこと。
一、道路の安全対策として、アンダーパス化されている道路施設に対して、冠水警報設備や予備ポンプを設置すること。また、石積み擁壁の緊急安全対策を進めること。
一、都道・区市町村道の無電柱化を推進するとともに、交差点すいすいプランをはじめとする交差点改良を進めること。また、自転車走行空間を積極的に整備するとともに、区市町村の取り組みを支援すること。
一、中小河川改修の早期完成に向けて取り組むこと。
一、高潮防御施設の整備として、江東内部河川の整備や東部低地帯における河川施設の耐震強化を図ること。
一、都市公園の整備について、東京の顔としての都立公園整備を進めるとともに、防災公園ネットワークの形成も進めること。
一、動物園の管理運営にあたっては、恩賜上野公園におけるホッキョクグマ・アシカ等展示施設整備などでさらなる魅力の向上に向けた整備を進めるとともに、来園者サービスの充実に努めること。
一、都立霊園については、青山霊園や谷中霊園の再生に取り組むこと。
一、市町村のまちづくりに対する支援として、みちづくり・まちづくりパートナー事業を実施するとともに、市町村による公園整備などが進むよう、土木事業に対する補助を行うこと。

 以上で、都議会民主党を代表して意見の開陳を行いました。

2009年12月11日 環境・建設常任委員会
山下委員 私は、奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について質問いたします。10月22日のこの環境・建設委員会で、私はビジターセンターについて質問し、東京のビジターセンター全体での環境学習活動の積み重ねが、東京の環境を守っていくムーブメントにつながることを指摘しました。環境を守るムーブメントの拠点として、ビジターセンターに寄せられる都民の期待は大きく、その業務を行う指定管理者の責任も大きいといえます。
 平成22年度から奥多摩ビジターセンターに指定管理者制度が導入されますが、指定管理者の候補者が適切な管理運営を行うかどうかという視点から、幾つか質問させていただきます。
 まず、奥多摩ビジターセンターに指定管理者制度を導入する目的を伺います。

大村自然環境部長 奥多摩ビジターセンターの管理運営につきまして、指定管理者の創意工夫により、多くの人々に利用されるような質の高いサービスを提供するとともに、効率的な運営を図ることを目的に指定管理者制度導入するものでございます。

山下委員 今回の指定管理者の候補者選定については、ことし7月に、候補者を公募したところ、2社から応募がありましたね。指定管理者には、質の高いサービスの提供や効率的な運営が求められますが、それにふさわしい候補者を選考することが重要と考えます。
 今回の指定管理者の候補者選考に当たり、どのように審査をしたのか伺います。

大村自然環境部長 指定管理者の候補者選定に当たりましては、東京都指定管理者選定等に関する指針に基づきまして、外部の有識者が主体となって構成される選定委員会を設置し、利用の促進、地域連携、緊急体制の確保、業務の効率化などについて審査を行ったところでございます。

山下委員 今、答弁いただいた審査によって、応募のあった2社のうち、東京都公園協会が奥多摩ビジターセンターの指定管理者の候補者として選定されましたが、東京都公園協会が選定された理由について伺います。

大村自然環境部長 財団法人東京都公園協会は、奥多摩の自然と登山に関する事業をバランスよく実施すること、広報誌などを活用してPRを充実すること、組織を挙げたサポート体制による業務の効率化を図ることなどを提案してございまして、これらが評価されて指定管理者の候補に選定されたものでございます


山下委員 指定管理者は、ビジターセンターという公の施設を5年間、管理運営することになりますので、その選考は適切に行わなければなりません。そのためにも選考過程や選考結果については、都民に情報公開されるべきと考えます。
 今回、公募から候補者決定まで、審査項目等、選考に関する情報をどのようにして公開してきたのか伺います。

大村自然環境部長 東京都指定管理者選定等に関する指針に基づきまして、本年7月に、指定管理者を公募する際に、選定基準や選定手順等を、さらに本年10月には、選定理由や選定結果、応募者の得点、選定委員の氏名、提案した事業の概要をそれぞれプレス発表いたしますとともに、ホームページで公開しているところでございます。


山下委員 ぜひこれからも都民に情報を公開していくことを望みます。
 ところで、指定管理者としての期間は5年間ですが、その間の指定管理者の事業実施についてのチェックが重要だと思います。チェック体制はどうなっているのか伺います。

大村自然環境部長 指定管理者としての運営開始後、四半期ごとに業務報告を求めまして、運営状況を的確に把握してまいります。
 さらに、毎年、外部の有識者を主体に構成いたします評価委員会を設置いたしまして、評価を行いまして、その結果を公表するとともに、評価内容に基づき、事業者を指導してまいります。


山下委員 奥多摩ビジターセンターで、安全な管理のもと、環境学習が推進されるよう、環境局のきめ細かな気配りをお願いして、私の質問を終わらせて頂きます。


2009年11月17日 環境・建設常任委員会 事務事業質疑「建設局」に対して

・質問の柱

1.街路樹について

2.都市公園について

3.動物園について

山下 それでは、私からは、きょうまず東京と緑という観点から、街路樹につきまして質問させていただきます。 道路の緑は、人の心に潤いや安らぎを与えると同時に、美しい都市景観の創出や環境の改善などのために重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 東京都が平成十八年に策定した長期プログラム「10年後の東京」では、「水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる」ことを目的として、当時四十八万本だった都内の街路樹を十年後に百万本へと倍増し、都市公園等、緑の拠点を街路樹でつなぐ「グリーンロード・ネットワーク」の形成、充実を進める、としています。 非常にきれいな言葉が並んでいますが、果たして具体的にはどのように取り組んでいるのでしょうか。まず、街路樹倍増の植栽の方法をお聞かせください。

小口公園緑地部長 街路樹倍増の取り組みにつきましては、道路の新設、拡幅にあたりまして、街路樹を一層充実させることはもとより、既存道路では季節感あふれる中低木の植栽を精力的に進めております。具体的には高木、中木、低木など、高さの異なる樹木を適宜組み合わせた植栽により、安全で快適な交通の確保とともに、沿道の土地利用や住民の生活と調和した植栽を工夫しながら、着実に街路樹を増やしております。

山下 確かに以前は整然とした並木道が多く見られ、それはそれで美しい景観を成していましたが、植物学的な視点から言いますと、一種類の木ばかりですと、同じ病気が蔓延したり、害虫に一気に食い荒らされることがあるなど、問題も生じがちです。 その点、いくつかの植物を組み合わせれば、こういった病害虫の被害をある程度防ぐこともできますし、鳥や虫などがバランスよく訪れ、新しい生態系を作り出すことも考えられます。 もちろん、言うまでもないこととは思いますが、様々な樹木を植えることは、花が咲き、実がなり、葉が色付くなど、季節感も色彩も楽しめますので、ぜひ今後も樹木の複合的な植栽を積極的に進めていただきたいと思います。 そこで、次に伺うのは、街路樹として採用する樹木の種類の選び方です。何か条件や基準があれば、お聞かせください。

小口公園緑地部長 街路樹は、沿道の生活環境の保全や都市環境の改善、交通の安全確保、景観の向上および緑陰の確保などを目的として整備しております。樹種につきましては、日照などの自然環境条件、道路の幅員構成および構造、沿道の土地利用状況などを勘案するとともに、地域住民の意見を聞きながら選定しております。

山下 樹木の選び方についての方針がわかりました。
 ここでもう一つ、街路樹の重要な役割、環境保全に言及させていただきます。環境保全という観点から、街路樹の果たす役割をどのようにとらえていますでしょうか。

小口公園緑地部長 環境保全という観点からの街路樹の果たす役割でございますけれども、大気汚染物質の吸収ですとか、粉塵の吸着など、沿道の生活環境の保全の効果、またヒートアイランド現象の緩和ですとか、CO2削減に寄与するなど、都市環境の改善の効果があると考えております。

山下 まとめていただきましたが、中でも大気の浄化は、環境の世紀の今、非常に重要な要素と考えます。 植物は二酸化炭素を吸収して酸素を吐き出すだけでなく、皆様ご存知のように、二酸化窒素や二酸化硫黄などの有害物質も吸収します。そして今、これら二酸化炭素や二酸化窒素、二酸化硫黄などを吸収する能力や、水を撒いたときに気温が下がる、いわゆる打ち水効果などを植物の種類ごとに測定する実験も数多く行われています。さらに有害物質をより多く吸収するよう品種改良された植物も、出回るようになりました。都はぜひ、これらの最新データを活用して、空気の浄化や夏の打ち水効果などの能力がすぐれた植物を街路樹などの植栽に取り入れていただきたいと思います。 そして、さらにもう一つ、植物の選び方として、私は都内で生産されている樹木の利用促進にも触れさせていただきます。 平成十八年度の東京都環境物品等調達基本方針には、東京産の樹木の利用促進が示されています。地場産業の振興、そして東京の農林業を守り、緑を保全する意味からも、ぜひ東京産の樹木をより多く街路樹に取り入れていただくよう、要望いたします。 さて、この質問の冒頭、街路樹倍増・百万本とグリーンロード・ネットワークという言葉をお伝えしましたが、このグリーンロード・ネットワークの拠点は主に都市公園です。そこで続いては都立の都市公園について伺います。 公園には樹木があり、都市環境を改善する効果があります。さらに、多くの人の憩いとレクリエーションの場であるとともに、災害から都市を守る働きもあるなど、公園は様々な役割を果たしています。こうしたことから、公園はすべての利用者に安全で快適な場所として提供されなければならず、中でも公園施設の安全対策と防犯対策は重要ですし、とりわけ高齢の方とお子さんへの配慮が必要です。高齢の方や障害を持つ方へのバリアフリー対策、お子さんへの安全対策、さらに誰もが安心して利用できるようにするための防犯対策について、現在の取り組みをお聞かせください。

小口公園緑地部長 公園を快適に利用していただくために、公園施設が安全に利用でき、防犯面でも心配がない公園づくりに取り組む必要がございます。まず、バリアフリー対策としましては、高齢者などが移動や施設の利用において、身体の負担を軽減でき、施設を使いやすくするために、園路の段差解消や洋式トイレへの改修などを実施しております。 遊具の安全確保につきましては、子どもにとって、安全で楽しい遊び場を確保できるよう、職員による日々巡回や月1回の定期点検、専門業者による年2回の精密点検を実施し、部品の摩耗や変形、ぐらつき等、異常を早期に発見して対処しております。また、子どもが安心して遊べるための防犯対策としては、樹木剪定により、死角解消をおこない、公園内の見通しを確保し、監視の目が行き届くようにしております。こうした取り組みのほか、職員や警備員による園内巡回を日々おこない、人々が安心して利用できる公園づくりに努めております。

山下 ところで、さきほどの街路樹に関する質問の際も、樹木には防風、防塵、緑陰による気温の調節、大気の浄化などの働きがあり、樹木が環境改善のために大きな役割を果たしている旨、お答えいただきましたが、その一方で、公園の大きな樹木は、陰の部分、つまり人の目が届かない死角を作ることも指摘されています。この死角を解消するための方法として、花を植えることが有効である、という専門家の調査の結果を目にしたことがございます。きれいな花が咲いていますと、人は自ずとそこに視線を移します。その結果、死角を無くし、犯罪を防ぐ効果が現れる、というものです。実際に、敷地や建物の隅に花を植えたり、鉢植えを置いたりして、侵入盗、つまり空き巣や痴漢を防ごうとしている団地もあるようです。公園の場合、大きな木の近くに花壇を作れば、人の目線が下の方に集まり、木の下で遊ぶ子供やくつろぐ人々の安全につながると考えます。日比谷公園などに花壇があるのは承知しておりますが、都立公園全体として、花壇への取り組みと管理は、どのようになっているのでしょうか。お答えください。

小口公園緑地部長 公園の花壇は、公園利用者が草花を観賞し、花に親しむ植栽空間であります。都立公園の花壇には、今お話のありましたような日比谷公園にあるように、都心の景観と調和のとれた幾何学模様の花壇があるほか、葛西臨海公園のような広大な広場に設置した大規模な花壇、それから蘆花恒春園のようなボランティアによる手づくり感があふれる花壇など、それぞれの都立公園の特性に合わせた花壇が設置されております。その管理につきましては、季節に合わせた植え替えをおこなうとともに、企業やボランティアの方々に花壇づくりに参加していただき、都民協働を推進することで、訪れた利用者の方々に楽しんでいただいております。

山下 都立公園として、花壇に積極的に取り組んでいることを評価させていただきます。都民参加という管理の方法も、コミュニティ作りの観点から、望ましいことと言えるでしょう。大きな樹木があり、さらに美しい花も咲く緑豊かな都市公園は、ストレス社会と言われる現在、心が安らぐ癒しの空間、都会人の心のオアシスになっていることと思います。 植物には、さきほどから何度か触れている防風、防塵、緑陰による気温の調節、大気の浄化といった物理的効果と、安らぎ、癒し、と言う精神的効果があります。二十一世紀は心の時代、と言われます。現在のようなストレス社会では、都市公園がどの程度、癒しの空間になっているか、という精神的な効用についても、知っておく必要があるかと思います。 都立公園では、利用者へのアンケート調査などを通じて「園内の安全・安心感」や「静けさ・落ち着き感」なども尋ねていると聞いております。どのような回答の傾向が出ているのでしょうか。ご紹介ください。

小口公園緑地部長 都立公園では、利用者サービスのさらなる向上を目指しまして、毎年、公園別に利用者満足度調査を実施しております。基本的な調査項目は、樹木や草花の管理状況やトイレ、休憩所などの施設の清潔さなど10項目であり、満足・やや満足・普通・やや不満・不満の5段階で、利用者に回答をいただいております。お話しの園内の安全・安心感、および静けさ・落ち着き感の2項目については、ほとんどの公園で、やや満足から満足の間の評価を得ております。

山下 アンケートの結果を伺いますと、樹木や花壇のある公園は、地球温暖化対策・カーボンマイナスといった物理的効果とともに、安らぎ、という精神的効果もすぐれた都市空間と言えそうです。今後も、安全に配慮しながら、誰もが快適に安心して利用することができるよう、都市公園の整備に努めていただくことを望みます。
 続いて、動物園について伺います。
 私自身、子供の頃は、毎週のように多摩動物公園に足を運び、また高校時代には上野動物園の「夜の動物園」にも参加し、普段は見られない夜行性の動物の夜の生態を観察するなど、動物園を通して、数多くのことを学ぶとともに、生物学の醍醐味を知ることができました。
 建設局の事業概要によりますと、動物園には、レクリエーション、教育の場、研究の場、種の保存、という四つの機能があるとされています。動物園は、大人も子供も楽しめる憩いの場、感動の場であると同時に、地球の生態系を学び、直面する問題について考えることのできる環境教育の場であり、さらに動物を通して優しい心を育てる情操教育の場でもある、と言えるでしょう。 こうしたことから、特に子供たちの教育の場として活用することを望みます。野生の貴重な動物を観察できる動物園が身近にあるのは、都民にとって幸せなことです。動物の生態や種の保存など、研究の一端に触れることで、興味が広がり、将来、研究者になろうとする子供が現れるかもしれませんし、いじめが問題視される昨今、心優しい子供を育てることにも、きっとつながるはずです。そこで、動物園の教育普及活動への取り組みはどのようになっているのか、お聞かせください。

三浦公園管理担当部長 動物園の役割は、さきほどお話にありました通り、4つございます。第一に来園者が動物を身近に感じ、楽しい時間を過ごしていただくレクリエション機能、第二に動物に関する正しい知識を普及する教育普及機能、第三に稀少動物の保護、増殖を中心とする種の保存機能、第四に動物の生態などに関する調査、研究機能でございます。このうち、お話しの教育普及活動につきましては、来園者向けに飼育係員が動物の生態や行動などについて解説をするキーパーズトークや動物解説員が動物たちの暮らしや自然の仕組みなどを紹介するガイドツアーを実施しております。また、体験型プログラムとしては、小学生等を対象に、飼育係員と一緒に動物の観察や飼育を体験するサマースクールや動物園の外で野生生物の採取や観察をする野外観察会を実施しております。さらに学校教育との連携や十版物の発行、インターネットで動物の生態や動画を配信するなど、さまざまな教育活動をおこなっております。

山下 体験型プログラムなど、教育活動のために、様々な工夫をしていることがわかりました。 今のお答えの中には、「学校教育との連携」という言葉もありましたが、具体的な取り組みについてお話しください。

三浦公園管理担当部長 学校教育との連携の取り組みにつきましては、まず学校の先生、教員の方々に対しましては、身近な生き物の観察方法や飼育管理について指導する講座を開催しており、遠足や修学旅行等の引率の先生に対しましては、動物の生態や飼育方法などについて、事前にご指導させていただいております。また、遠足や修学旅行等で訪れた児童、生徒に対しましては、動物解説員がガイドをおこなうなど、きめこまやかな対応をしております。さらに環境教育用教材の貸し出し等をおこなうとともに、小中高校生向けの出張事業をおこなうなど、学校教育との連携を図っております。

山下 わかりました。これからも、より多くの子供たちが動物園を訪れるよう、引き続き教育機関との連携を強めていただくことを要望いたします。
 さて、きょうは街路樹や公園を中心にお話をうかがいましたが、環境の世紀と言われる二十一世紀、建設局の果たす役割は非常に大きい、と言い切ることができるでしょう。世界に冠たる環境都市・東京の確立のために、今後とも事業の一層の推進をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。


2009年10月22日 環境・建設常任委員会 事務事業質疑「環境局」に対して

・質問の柱は下記の3つ

1.みどり率について

2.校庭の芝生化について

3.ビジターセンターについて

山下 私からは、まず東京と緑、という観点から、みどり率について質問をさせていただきます。東京における緑の量を表す指標として、都では現在、みどり率という指標を独自に設定して用いていますね。このみどり率は、従来、緑被率で表されていた部分に、公園内の緑で覆われていない部分と、河川等の水面が占める割合を加えて算定するものと理解しております。私はかつて環境学習リーダーの研修などの場を通じて、みどり率という言葉に何度か触れる機会がありましたが、都民の方々にとっては、みどり率という言葉自体、あまりなじみがないのではないかと思います。そこできょうの事務事業質疑では、まず、このみどり率を取り上げ、その基本的な考え方などを改めて明らかにしてまいりたいと考えます。さて、このみどり率、いつ、どのような考え方で導入された指標なのか、また、みどり率を導入することのメリットは何か、まず、お聞かせください。

木村参事 みどり率は、平成12年度から導入した指標でございます。緑が持つ年環境の改善、防災、生物の生存基盤などの機能を発揮させていく上では、水が漏っている役割も重要でございます。また、公園は、公園全体で緑が持つ機能を発揮しております。こうしたことから、都では従来の緑被率に河川等の水面の占める割合と、公園内の緑で覆われていない面積の割合を加えたみどり率を導入しています。これにより、緑が有するさまざまな機能を踏まえて、水と緑を総合的に把握する指標を持つことになったと考えております。なお、都の緑の環境の状況と施策を都民に紹介しております東京の環境2009等で、みどり率を使って緑の現状を紹介しております。

山下 わかりました。みどり率という概念には、緑で覆われた部分に加え、水面等の要素が含まれることから、水と緑の回廊で包まれた美しいまちを目指す東京の指標として、従来の緑被率に比べて、このみどり率のほうがすぐれていると私は思っております。ただ、このみどり率という概念が、区市町村のレベルまで広く普及しているとは言い難いのが現状です。私は以前、いくつかの自治体をピックアップして、みどり率の指標に対する問い合わせをしましたところ、緑被率を用いているケースのほうが多数を占めただけではなく、自治体の中には、みどり率という言葉すら担当者が知らない、といったケースも見られました。そこで伺います。都内の自治体におけるみどり率の現在の普及状況はいかがでしょうか。

木村参事 確かに区市町村では、緑被率というのを使っておりますが、当方で調べた範囲内でございますが、みどり率につきましても、現在、区部で15区、多摩地域でも12市がみどり率を算出し、公表しております。このように都内の各区市町村でも、みどり率の使用が普及してきているものと認識しております。

山下 みどり率が区市町村に徐々に普及してきているのは喜ばしいことと思います。私はかねてから、緑被率の算定周期が自治体ごとにまちまちだったり、また指標の精度自体にもばらつきがある、などの理由で、自治体間で緑の量を単純に比較できない、といった状況を問題視してまいりました。緑の量をはかるには、まず区市町村間で、緑に対する、いわば共通の物差しを持つことが重要と言えるでしょう。共通の尺度を持つことで、初めて緑の状況の比較が可能となり、それにより自治体間で、良い意味での競争原理が働くことになれば、都内全体で一層、緑化を進める力になるはずです。都にはぜひ今後、各区市町村に対して、指標としてのみどり率のさらなる普及を進めていただきたくお願いいたします。
 さて、現在、都は緑の東京10年プロジェクトを展開し、1000ヘクタールの新たな緑の創出を目標の一つに掲げて、海の森の整備や街路樹の倍増など、さまざまな施策に取り組んでいることと思います。環境局としても、1000ヘクタールの緑の創出に向けて、屋上緑化や都内の公立小中学校等における校庭の芝生化を推進していますね。このうち屋上緑化につきましては、先日の各会計決算特別委員会第三分科会で、都は緑化計画書制度により、平成13年度から昨年度までの8年間で、およそ103.9ヘクタールの新たな緑が屋上緑化で創出されたこと、また、既存の建築物の屋上緑化については、昨年度、モデル事業を実施して、現在、施設整備の留意点や導入効果などについて検証中であることを確認しました。
 そこできょうは、屋上緑化については、都市空間に緑を創出する有効な手法であり、今後も積極的に進めていただきたい、ということを要望するにとどめまして、続きましては、校庭の芝生化について、いくつか質問させていただきます。
 校庭の芝生化は、地表面の温度を低減させることから、ヒートアイランド現象の緩和が期待できるなど、意味のある取り組みだと思います。まず、現在、都内の公立小中学校では、どの程度、校庭の芝生化が進んでいるのでしょうか、お答えください。

大村自然環境部長 都は、東京を緑あふれる都市へ再生するとともに、子どもが体を動かす喜びを味わえる環境を創出するため、校庭の芝生化を推進しているところでございます。都内の公立小学校での校庭の芝生化は、補助を実施する前の平成16年度では17校でございましたが、平成20年度末では120校となっております。

山下 都内の公立小中学校では、環境に配慮した設備整備が進められていると聞いております。環境への配慮という点から言いますと、校庭の芝生化については、緑化の推進やヒートアイランド対策として評価できますが、芝生の生育と維持管理のためには、かなりの量の水が必要になりますね。ですから、今後、全公立小中学校を対象に校庭の芝生化を進めていくとしますと、水資源に配慮することも重要だと考えます。私は校庭の芝生化を図るなら、同時に雨水の利用などを推進する必要があると常々考えてまいりました。そこで、この校庭の芝生化と水対策につきまして、お考えを伺います。

大村自然環境部長 都は区市町村に対しまして、校庭の芝生化のための工事費や維持管理費を補助しております。芝生への散水は上水道の利用、雨水の利用、またプールで使用した水の利用など、各学校のいろいろな条件によりさまざまでございます。都はこれまでも、芝生化の工事に合わせまして雨水タンクの設置等にも補助をおこなっているところでございます。今後、雨水の有効利用につきまして、区市町村に対し、具体的な事例を紹介していくとともに、それぞれの学校の状況に応じた支援をおこないまして、芝生化を推進してまいりたいと思います。

山下 ありがとうございます。芝生化の推進では、ぜひ雨水利用を区市町村にPRするなど、水資源についても配慮して進めていただきたいと思います。
 ところで、校庭の芝生化は、芝刈りなど維持管理作業に手間がかかるところがありますが、学校によっては、保護者や町会など、地域の方々が芝刈り作業を手伝っている、といった話も耳にします。地域の方々が一緒になって芝生の維持管理作業をおこなうことで、地域の和も生まれるのではないでしょうか。環境とコミュニティの一石二鳥と言えるかもしれません。地域のこうした取り組みを促すことも踏まえた上での芝生の維持管理というのはいかがでしょうか。

大村自然環境部長 校庭の芝生化を推進するためには、地域の皆さんと連携して芝生の維持・管理をおこなっていくことが非常に重要だと考えております。都は校庭の芝生化にかかる整備工事費などにつきましては、通常、対象経費の2分の1を補助しておりますが、芝生の管理を地域が共同しておこなう場合は全額、補助をすることといたしておりまして、地域の連携を促しているところでございます。また、維持管理に携わる地域の方々を対象に講習会を開催するとともに、専門的なアドバイスをおこなう校庭芝生グリーンキーパーを派遣しております。今後とも地域と連携した校庭の芝生化を支援してまいります。

山下 校庭の芝生化を通して、地域における環境意識も高まると思います。今後とも、多くの地域で学校を核とした心の通う環境コミュニティを築けるよう、地域の取り組みを支援していただくことを要望いたします。
 さて、これまで都市と緑という観点で話を進めてまいりましたが、次は雄大な自然環境、その中にあるビジターセンターについて伺います。
 東京には2000メートル級の山岳地帯から丘陵地、そして伊豆諸島や亜熱帯気候の小笠原諸島まで、豊かな自然があふれています。そこには国立公園や国定公園などの自然公園が広がっており、そこでの環境学習施設としてビジターセンターが存在します。現在、どこにビジターセンターがあって、どのような活動をしているのか、まずお聞かせください。

大村自然環境部長 自然公園を訪れる都民に、自然や歴史、文化などの情報をわかりやすく展示、解説することを目的といたしまして、御岳、奥多摩、山のふるさと村、高尾、小峰、八丈、小笠原の7つのビジターセンターが設置されております。各ビジターセンターはパネルや標本の展示、パンフレットの発行などによりまして、地域の特徴的な情報を提供するとともに、解説員によるガイドウォークや各種自然教室の開催を通しまして、自然と触れ合う機会を提供しております。

山下 7つのビジターセンターのうち、小笠原ビジターセンターは、小笠原諸島の世界自然遺産登録に向けて、その普及啓発の場として、重要な役割を担うものと思います。世界遺産登録に向けての小笠原ビジターセンターの取り組みなどを紹介してください。

大村自然環境部長 世界自然遺産登録に向けましては、その自然環境を保全することが重要であるために、小笠原の地元の住民の方や観光客の理解を得ることが不可欠でございます。このため、小笠原ビジターセンターでは、世界的な価値がある小笠原諸島特有の自然環境を解説するパネルや標本の常設展示に加えまして、世界遺産に関する特別展や外来種の生態や対策に関する特別展を連続して実施しますとともに、国や村、各種団体と連携しまして、外来種対策や稀少種に関する講習会を開催してまいります。

山下 世界遺産登録に向けて、小笠原ビジターセンターが引き続き重要な役割を果たしていくことを期待しております。
 一方、目を山のほうに転じまして、青梅市には御岳山があります。今年度、山頂を取り巻くように新たな回遊ルートが開設された御岳山には、四季を通じて多くの人が訪れています。私も春の新緑、夏を彩るレンゲショウマの群落、秋の紅葉と荘厳な神楽の舞い、冬の雪景色などに御岳の魅力を感じております。この御岳山にあるビジターセンターでも、地域の魅力を生かした取り組みがおこなわれていますね。具体的にいくつか紹介してください。

大村自然環境部長 御岳ビジターセンターでは、御岳山の自然や地域特性を生かしまして、宿坊に宿泊して、夜行性のムササビを観察する会、眺望のよい山頂付近で中秋の名月を観察しながら虫の音を聞く会、岩と水が織り成す美しい自然が見られますロックガーデンで地形や地質を学ぶ会、レンゲショウマの花を知る、見る、描く催しなど、各種の自然教室を開催しております。

山下 御岳山はこのところ朝晩の冷え込みで、山頂付近からそろそろ紅葉が始まってきています。御岳ビジターセンターの年間予定表によりますと、これからの時期、しっとりと楽しむ御岳山の紅葉ですとか、カップルで楽しむ初めての冬のアウトドアなど、興味深い催しがいくつも企画されています。お子さんからカップル、定年退職を迎えた世代、、そして年配の方まで、さまざまな世代が楽しめる催しをさらに多く企画していただきたいと思います。都のお考えを伺います。

大村自然環境部長 御岳山はケーブルカーを使うことで、小さなお子さんでも年配の方でも容易にアクセスできるところでございます。こうした恵まれた条件を生かしまして、4〜5歳児とその保護者を対象とした山の幼稚園、女性を対象に自然散策のきっかけをつくる女性のためのスローウォークなどの自然教室を今年度も新たに企画いたしております。今後とも幅広い世代に環境学習の機会を提供してまいりたいと考えております。

山下 ありがとうございます。幅広い世代が御岳ビジターセンターを訪れて、環境について知識を深めるとともに、御岳山に来てよかったと実感していただけることを願っております。世界遺産を目指す小笠原やただいま取り上げました御岳だけでなく、東京のビジターセンター全体での地域の特徴を生かした環境学習活動の積み重ねが、東京の環境を守っていくムーブメントにつながることと思います。大いに成果が上がりますことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。