2009年10月16日(金) 各会計決算特別委員会
環境局に対する質疑

山下ようこ委員 今日、私は、環境学習について何点か伺います。
 環境学習を進めることによって、多くの人々が環境に対する高い意識を持つことは持続可能な社会をつくる上で極めて大きな意義があるといえるでしょう。東京都は、平成六年度から十五年度までの間に、五百人を超える環境学習リーダーを育て、このリーダーを核にして、地域における環境活動の普及や実践を進めてきたことと思います。そう申す私自身も東京都環境学習リーダーの第一期修了生でございまして、リーダーの育成講座で得た知識や、その後の経験などをもとにして、これまで地域に根差した環境活動に取り組んでまいりました。
 そこで質問をさせていただきます。
 手元にございます環境局の一般会計歳入歳出決算説明書を見てみますと、平成二十年度は環境学習の推進として五百二十万円余の経費が示されていますが、都側の説明によりますと、この経費は教職員を対象にした環境教育プログラムに関する研修会、その他の事業に充てたものとのことですね。としますと、環境学習リーダーに関しては、どのような取り組みを進めたのでしょうか、お答えください。

吉村憲彦 環境政策担当部長 持続可能な都市を構築し、深刻な地球温暖化問題等を解決するためには、次世代を担う人材の育成は不可欠でございます。こうした認識のもと、東京都は環境学習リーダーの育成に努め、当初の目標でございます五百人を超える五百三十五人の修了生を地域社会に送り出してまいりました。地域の中で環境保全に関する行事の企画、あるいは運営に携わったり、環境学習の講師などを勤められているというふうに聞いてございます。こうしたさまざまな場面で活躍されている環境学習リーダーを支援するため、東京都は現在都が取り組んでいる施策について情報提供を行うなどの取り組みを進めているところでございます。

山下 環境学習リーダーは、それぞれの区市町村の中でさまざまな活動に取り組んでいますが、一口に区市町村といいましても、環境保全活動のレベルはまちまちで、特に多摩の市町村の中には財政基盤も弱く、職員の数も足りないことなどから、正直なところ、環境にまでなかなか手が回らないというところもあるようでございます。私は、東京全体として、環境保全の底上げを図るためには、こうした手が回っていない自治体にこそ、環境学習リーダーの活用が求められていると思います。そのためにも、今後一層、環境学習リーダーの人材情報を積極的に提供していくことが必要と考えます。
 このリーダーの育成が終了して既に六年がたちまして、役所のほうも職員の異動があるなどで、環境学習リーダーという言葉さえ引き継がれていない自治体がある可能性も否定できません。
 そこで、都が日ごろ、区市町村と連絡をとり合う中で、環境学習リーダーの人材情報をきちんと示していくことが望ましいと思いますが、都のお考えを伺います。

吉村環境政策担当部長 都はこれまでも、環境学習リーダーの人材情報につきまして、本人のご承諾のもと、ホームページに掲載し、その提供に努めてまいりました。また個別に問い合わせのあった区市町村に対しましては、その要望に応じたリーダーの紹介を図ってきたところでございます。東京都は区市町村とともに都内の環境保全に取り組んできておりまして、都の事業を情報提供する区市の環境主管課長会が設けられていることから、今後、そうした場も活用いたしまして環境学習リーダーの人材情報の提供を行ってまいります。

山下 環境学習リーダーの活躍の場が広がれば、リーダー自身の経験も豊かになりまして、結果としてリーダーのレベルアップにつながります。こうした視点も重要だと思います。今年度から都が取り組んでいます地球温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度では、区市町村が先駆的な事業を提案してきた場合には、十分な財政支援を行うということですから、例えばその先駆性などを比較する段階で環境学習リーダーが関与できれば、事業の具体化にも貢献できますし、リーダー自身にとっても得がたい経験を積むことになります。もちろん、事業の執行に責任を負う区市町村の主体性に十分配慮する必要はありますが、この補助事業について都が区市町村とやりとりをする中で、区市町村側に環境学習リーダーの情報を提供していくこともできるのではないかと思います。この点につきまして、都のお考えをお聞かせください。

吉村環境政策担当部長 東京都が今年度創設いたしました地球温暖化対策等推進のための区市町村取り組み促進制度は、各区市町村の地域特性に応じた地球温暖化対策並びに緑化推進のための必要な取り組みを促進するものでございます。
 補助事業の提案は、区市町村の自主的な創意工夫に基づくことが前提でございまして、区市町村の自主性を最大限尊重しなければなりませんが、その事業構築に当たりましては、さまざまな事前の相談を受けておりまして、そうした相談の中で環境学習リーダーの情報を適宜提供していきたいというふうに考えてございます。

山下 ありがとうございます。
 先ほども申しましたように、私は、東京都環境学習リーダーの育成講座を修了した者でございます。十数年も前のことではございますが、今思い返しても本当に質の高いプログラムだったと思っております。こうしたプログラムを修めた人材が、それぞれの地域の中で中心的な役割を果たすことができますよう、都においては引き続き支援体制の充実を図っていただきたく、これをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。