2010年11月11日(木) 環境・建設委員会 事務事業質疑 |
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山下委員 それでは私からは、まず環境局の広報の取り組みについて伺います。東京都は、世界一、環境負荷の少ない都市の実現に向けて、世界で初めて都市型のキャップ&トレード制度を導入するなど、日本国内はもとより、世界に向けて大きなニュースを発信しています。また、小笠原の世界自然遺産登録に関する動きも注目されています。 かつて環境行政と言えば、公害問題を解決するための各種の規制が主な事業であったと考えられますが、環境の世紀と言われる21世紀の今、行政は、理想を高く掲げ、そこに向かって社会を誘導していく、いわば戦略が非常に重要になっていると感じます。そして、その社会の誘導に大きな役割を果たすのが広報の業務であると考えます。そこで、環境局の広報に取り組む姿勢、基本方針について伺います。 紺野秀之・環境政策部長 環境問題は、都民生活や事業活動と密接に結びついておりまして、その解決には都民の理解と協力をいただくことが不可欠でございます。このため、広報は非常に重要なものと認識しております。実際の広報に当たりましては、東京の環境の現状や課題、東京都の取り組みなどをさまざまな分野や対象に応じまして、都民にわかりやすく、かつ正確に伝えていくことが重要であると考えております。 山下委員 確かに環境局は、都民に分かりやすいセミナーやイベントなどを数多く開催していますね。私自身、放送局でニュース報道に携わっていた者として、高い理想を掲げながらも、様々な世代や立場の人々に、身近なものとして環境への理解を促す東京都環境局の事業展開と広報活動は評価できると考えております。環境局のセミナーやイベント開催のプレス発表を見ますと、そこには目標や施策に関する分類の数字が記載されていて、環境都市へと社会を誘導するための戦略が感じられます。どのような体系に基づき、広報をおこなっているのか、伺います。 紺野部長 環境局では、先ほど述べた基本的な考え方に基づきまして、さまざまな形の広報活動をおこなっております。 山下委員 よくわかりました。普及啓発型の広報、参加型の広報、連携型の広報、それに加えて、毎年、重点テーマを決めての集中的な広報。どれも非常に重要で、その中でも、最後の「重点テーマを決めての集中的な広報」というのは、理想の社会に向かって人々をリードしていくための大事なポイントと言えそうです。この「重点テーマを決めての集中的な広報」について、もう少し詳しくお話しください。 紺野部長 環境に配慮した行動を促していくためには、より多くの都民にさまざまな機会を通じて啓発することが有効であるため、昨年度から、特に重要なテーマについて、雑誌、生活情報誌、あるいはラジオ、インターネットなどの多様な媒体を組み合わせまして、集中的に広報しているものでございます。 重点テーマにきましては、局の事業展開と連動した効果的な広報としていくために、各部が参画して全局的な見地から検討、選定しているところでございます。今年度は、家庭における地球温暖化対策を一層促していくという視点から、昨年度に引き続きまして、太陽エネルギー機器の利用促進、環境に配慮した商品の購入、公共交通機関の利用促進などを重点テーマとして広報を展開しております。 山下委員 [まとめ]時代をどうとらえるか、先をどう読むか。今後も環境局の頭脳を結集して、毎年の重点テーマを選んでいただきたいと思います。 そして、それと同時に、毎年継続しておこなう事業などについても、広報をさらに充実させていただくことを望みます。 たとえば、平成19年度に創設したエコトップ・プログラム、人材育成・認証制度。都は現在、首都大学東京、玉川大学、千葉大学、東京農工大学、法政大学、桜美林大学の6つの大学の特定の学科や専攻コースを認定して自然環境を保全するための人材育成を推進しています。大学の教育現場からは、「非常に人気のあるプログラムだ。インターンシップのボリュームがあり、社会で役割を果たせそうだ。大企業とのネットワークもでき、卒業後の進路にも役立ちそうだ。」といった、この制度を高く評価する声が、私のもとに届いています。東京都の認証制度のもとに学んだ学生達が、これから順に社会に出ていきます。環境の世紀を担う人材の活動、活躍にも注目して、ニュースを発信していただきたいものと思います。 さて、続いては、近い将来の広報の重点テーマにしていただきたいとも思う森林の育成について伺います。 森林は酸素を生み出すという人間にとって必要不可欠な機能を有するとともに、CO2吸収、地球温暖化防止という、今日の環境問題の根幹を左右する重要な役目を担っています。その一方で、林業という産業の枠組みの中で管理されてきたがために、手入れが行き届かなく、荒廃・衰退というピンチにさらされることにもなりました。森林の問題は、現在の地球環境の縮図と言ってもいいのかもしれません。 長谷川部長 事業開始以来、これまでに約四千九百ヘクタールの森林を整備いたしました。間伐などの整備がおこなわれました森林は、太陽の光が林内に入るようになり、たとえばムラサキシキブのような植物が生育するなど、林内環境に変化が見られております。引き続き、地元の市町村の主体的な取り組みを促すとともに、連携を図りながら事業を推進し、人工林の公益的機能の回復を進めてまいります。 山下委員 [まとめ]林業という産業のための森林から、環境のための森林へ。東京の森林の課題は地球環境問題である。環境局は森林に対する価値観を変革させるべく、大きく舵を切ったと言えるでしょう。 行政と都民が協力し合って緑化を進めていくという現在展開中の緑のムーブメントも、今後なお一層推進していただきたいものと思います。高層ビル街の屋上緑化、壁面緑化、そして、私が昨年来、提案しておりますオフィスビルの室内緑化など、あらゆる都市空間の緑化を進めて、世界一、環境負荷の少ない都市、東京を実現していただきたいと考えます。 東京から世界を変える。東京発信の緑のムーブメントが世界を駆け巡ることに期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 |