私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成22年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
一般会計の予算規模は、大幅な税収減を受けて、前年度比5.1%減の6兆2,640億円で、2年連続の減となりました。しかし、約6,000億円もの税収減に対しては、基金の取り崩し、都債発行増で歳入を確保し、歳出における公債費、税連動経費、基金積立の減などにより、給与関係費を除く経常経費については前年度比3.9%増の2兆2,232億円、投資的経費については前年度比4.7%増の8,137億円を確保しています。
事務事業評価においても、140件を見直し・再構築することによって約200億円を確保するとともに、歳出の精査によって約1,200億円の事業費を削減しています。
こうした堅実な財政運営については、基本的に評価いたします。
個々の施策においては、昨年の都議選において都議会民主党が掲げた、医療・福祉・介護、仕事・中小企業、住まい・防災、学び・子育て、環境・エネルギーの5つの分野について前向きな姿勢が示されています。昨年末に要請した「重点要望事項」については、前年度比22.3%増の約5,000億円が予算化されました。
とりわけ、「小児医療」や「医療提供体制の確保」については、多くの事業が「新規事業」あるいは「拡充事業」として予算化されています。
しかし、懸案の私学助成や出産・育児一時金の上積みは計上されておらず、私立幼稚園等就園奨励特別補助においても、負担増の三分の一が残されています。「八ッ場ダム」についても、過去の実績などに基づいたとされる予算額が計上されています。
中央卸売市場会計には、「豊洲新市場の整備」として、土地取得費を含む1,281億円の予算が計上されています。都議会民主党は、この間の本会議、予算特別委員会、常任委員会において、様々な角度から議論させていただきましたが、都側からは満足できる回答はありませんでした。既に、修正案の策定に入っており、予算特別委員会での提案に向けて粛々と準備を進めさせていただきます。
以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局に係る事項について申し上げます。
まず、環境・建設両局に関わる事項について述べさせていただきます。
一、指定管理者の指定に当たっては、制度導入の趣旨を踏まえ、民間セクターの活用を促進し、公平・公正を期すること。
次に、環境局関係について申し上げます。
一、企業の温暖化対策を推進するため、大規模事業所に対する温暖化ガス削減義務と排出量取引制度を着実に実施するとともに、その実施状況や効果について明示し、都の制度の全国的な普及拡大に努めること。また、地球温暖化対策報告書の活用や省エネ促進・クレジット創出プロジェクトなどにより、中小規模事業所の地球温暖化対策の底上げを図ること。
一、企業・団体と連携した省エネ診断員制度の推進等により、家庭での省エネ・節電対策を促進すること。
一、太陽エネルギーの利用拡大に向けて、国や区市町村などとも連携した支援の充実に努めること。また、太陽エネルギー以外の再生可能エネルギーの利用拡大に向けて取り組むこと。
一、運輸部門でのCO2削減に向けて、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(pHV)の購入補助や低燃費車の利用を促す取り組みを進めること。また、エコドライブの普及拡大を図ること。さらに、自転車への利用転換を図るなど、自動車に依存しないまちづくりを進めること。
一、産業廃棄物の不法投棄を防止するため、産廃Gメンによる監視体制を強化すること。また、レアメタル、レアアースのリサイクルを推進すること。
一、大気汚染物質のさらなる排出削減に向けて、大気中微小粒子(PM2.5)に関する調査を実施すること。また、船舶からの排出ガス削減に向けて、陸上電力の供給の効果を検証すること。
一、土壌汚染対策として、中小事業者の負担軽減に向けて、ガイドラインの策定や簡易迅速分析法の確立を図るとともに、都民に対する情報提供の仕組みづくりに取り組むこと。
一、緑の保全と再生に向けて、緑化計画書制度や開発許可制度の強化・充実を図ること。また、校庭芝生化事業をはじめ、駐車場や都市の隙間に着目した緑化の推進を図ること。
一、東京湾や中小河川の水再生に向けて、水生生物の保全のための必要な調査を実施するとともに、干潟の保全・再生などを通じて、赤潮・青潮対策に取り組むこと。また、水収支調査の結果を踏まえ、水循環の推進に向けた新たな施策を構築すること。
一、森林や丘陵地の保全に向けて、多摩の森林再生事業を着実に実施するとともに、保全緑地の公有化を推進すること。また、生物多様性地域戦略の推進を図るとともに、小笠原諸島の外来種対策など、世界自然遺産登録推進事業を進めること。
次に、建設局関係について申し上げます。
一、幹線道路ネットワークの整備を推進するために、中央環状線、外環本線をはじめ、都市の骨格を形成する幹線道路や地域幹線道路の整備を進めること。また、将来の交通需要を踏まえつつ、必要性などに関する客観的なデータを公表するなどして、より優先度の高い道路の整備が進むよう取り組むこと。
一、環状第2号線(築地地区)の整備については、築地市場問題の今後の推移に特段に配慮すること。
一、多摩地域における道路整備においては、工事の施工及び道路計画の存在に伴う生物・生態系の変化の内容やその程度について、詳細な調査・検討の実施に努めること。
一、京浜急行本線・空港線やJR中央線・南武線など、鉄道の連続立体交差化事業を推進するとともに、西武線や京王線での調査を進めること。
一、是政橋などの橋梁整備を進めるとともに、橋りょうの長寿命化や耐震補強を着実に実施すること。また、勝鬨橋の再跳開に向けて、調査・検討をすること。
一、街路樹の充実・育成など、道路の緑化を推進すること。また、遮熱性舗装や街路灯の省エネ照明への転換など、環境に優しい道路整備に取り組むこと。
一、道路の安全対策として、アンダーパス化されている道路施設に対して、冠水警報設備や予備ポンプを設置すること。また、石積み擁壁の緊急安全対策を進めること。
一、都道・区市町村道の無電柱化を推進するとともに、交差点すいすいプランをはじめとする交差点改良を進めること。また、自転車走行空間を積極的に整備するとともに、区市町村の取り組みを支援すること。
一、中小河川改修の早期完成に向けて取り組むこと。
一、高潮防御施設の整備として、江東内部河川の整備や東部低地帯における河川施設の耐震強化を図ること。
一、都市公園の整備について、東京の顔としての都立公園整備を進めるとともに、防災公園ネットワークの形成も進めること。
一、動物園の管理運営にあたっては、恩賜上野公園におけるホッキョクグマ・アシカ等展示施設整備などでさらなる魅力の向上に向けた整備を進めるとともに、来園者サービスの充実に努めること。
一、都立霊園については、青山霊園や谷中霊園の再生に取り組むこと。
一、市町村のまちづくりに対する支援として、みちづくり・まちづくりパートナー事業を実施するとともに、市町村による公園整備などが進むよう、土木事業に対する補助を行うこと。
以上で、都議会民主党を代表して意見の開陳を行いました。