それでは質問を始めさせていただきます。
先の委員会に監査事務局から提出された事業概要を拝見しますと、地方自治法の規定で、公正で効率的な行政を確保するために監査委員を設置しているとあります。昨今の厳しい経済情勢に照らして、この設置目的を改めて考えますと、その言葉以上に監査が都民の期待を背負っている仕事であると感じます。
こうした役割を担う監査委員として任命されているのは5名の方、議員から選任される委員2名及び識見を有する者から選任される3名で、議員選出委員としては、この総務委員会の委員である小沢委員、服部委員が就任されています。この監査委員の方々が着実に監査をおこなっていくための事務局の職務の意義は極めて大きいと考えます。
そこで、きょうは、この監査事務局の体制について質問させていただきます。
まず、監査事務局の事業概要1ページには、定例監査は、都の事。
務の執行及び経営に係る事業の管理について、法令等の趣旨に沿って適正におこなわれているかを主眼とし、経済性、効率性、有効性の観点にも十分留意して、毎年1回以上実施すると明示されています。
そこで、実際にどのような体制で監査をおこなっているのか伺います。
仁多山芳範・監査担当部長 実際の現場でおこなう監査は、監査第一課から第三課と技術監査課の4つの課で対応してございます。
監査ごとに申し上げますと、本庁各部へは年1回、事業所へは2年1回を基本として実施する定例監査と、年間約150団体前後を対象しておこなっている財政援助団体等監査は、監査第一課から第三課が担当しております。
また、技術的な観点から実施する工事監査においては、技術職の職員で構成する技術監査課が年間を通じて各局の監査をおこなっております。
いずれの監査につきましても、対象局や対象団体の規模に応じた人員で対応しております。
そのほか、監査事務局が実施するものとしては、行政監査や住民からの請求による監査、各会計に対する決算審査など、各種監査、審査をおこなっております。
山下 ただいまのご答弁で、多くの監査、審査を実施していることがわかりました。
そこで、これら多くの仕事を担う事務局の組織に着目しますと、事業概要の4ページにおいて、平成24年4月1日現在、職員定数89名という体制になっていることがわかります。
東京都という大きな組織で、このような限られた人員配置によって、詳細にわたる検証、評価を進めてきたことについて、私からも高く評価させていただきます。
平成18年度の決算から、東京都は独自に、国に先駆け、複式簿記、発生主義会計の考え方を取り入れた新たな公会計制度を導入しており、財務状況をより正確に把握し、都民への説明責任を果たすことが可能になったと言えます。
こうした中で監査を実施していくには、事務局として、監査の質を一層向上させていくことが求められており、それには職員のさらなる能力向上が不可欠と考えます。
そこで、職員の能力向上について事務局としてどのように取り組んでいるのか、伺います。
仁多山監査担当部長 監査の質を高めていくためには、個々の職員の能力を高めていくことが何よりも重要であると考えております。
通常のOJTや事務の指導等をおこなうほか、局として独自に次のような取り組みをおこなっております。
まず第一に、外部から公認会計士を任期つきで任用しております。
また第二に、内部にも公認会計士等の資格を保有する者を配置しております。
さらに第三に、簿記等の資格の取得の支援等をおこなっております。
また、転入者に対しては、研修の実施や事務を通じた指導育成等、組織一体となった取り組みにより、所属職員の能力向上に努めております。
山下 監査事務局に勤務する職員の皆さんの能力向上を図りながら、監査に臨んでいることがよくわかりました。
その職員の皆さんの努力した結果として、先の第三回定例会に提出された監査報告書があります。この報告は、数多くの、また多岐にわたる指摘事項や意見、要望事項を公表する内容となっています。
そこで、指摘事項及び意見、要望事項とは、それぞれどのようなものであるか、また、指摘や意見、要望を受けての各局の改善状況はどのようになっているのか、伺います。
仁多山監査担当部長 まず、指摘事項とは、該当事案にっいて是正、改善を求めるものでございます。
改善状況につきましては、たとえば平成23年の定例監査を見てみますと、指摘事項が77件、意見、要望事項が3件あり、そのうち指摘事項で53件、意見、要望事項で2件の改善がなされました。また、改善がいまだになされていないものも、各局に置いて改善に向け検討中あるいは対応中となっております。
先の定例会に報告いたしました平成24年の定例監査では、指摘事項が120件、意見、要望事項が6件となっており、各局の改善状況につきましては、平成23年定例監査の未改善部分とあわせ、現在取りまとめ中であり、第四回定例会に報告する予定で準備を進めているところでございます。
山下 指摘事項、意見、要望事項といった監査の結果が都政をよりよい方向へ導いていることがよくわかりました。
監査が、金額という数字の確認にとどまらず、東京都の事業の是正、改善という領域にも踏み込む役割であるとすれば、事務局に勤務する職員の意識が適正な監査のための大きな要素であると言えます。
監査事務局の職員の皆さんは、どのような意識で業務に取り組んでいるのか、伺います。
仁多山監査担当部長 監査委員は独立した執行機関であり、職員もそれを支えていくとの自覚のもとに業務をおこなっております。
監査に際しては、法や定められた手続きに準拠しているかを見る合規制の観点はもとより、事務の経済性、効率性、有効性の観点から検証、評価をおこなっており、監査を通じて都民サービスの向上に寄与することを図っております。
山下 ありがとうございます。
監査によって明らかとなった都の事務事業の執行上の問題点を都民に対してわかりやすく示していくことは、都政の向上のために大変重要であると考えます。
都みずからを律していこうとする監査委員、監査事務局の皆さんの取り組みによって、都民生活が向上し、日本の首都東京がますます発展することを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。