2012年11月15日(木) 総務委員会 事務事業質疑
監査事務局に対する質疑

それでは質問を始めさせていただきます。
先の委員会に監査事務局から提出された事業概要を拝見しますと、地方自治法の規定で、公正で効率的な行政を確保するために監査委員を設置しているとあります。昨今の厳しい経済情勢に照らして、この設置目的を改めて考えますと、その言葉以上に監査が都民の期待を背負っている仕事であると感じます。
こうした役割を担う監査委員として任命されているのは5名の方、議員から選任される委員2名及び識見を有する者から選任される3名で、議員選出委員としては、この総務委員会の委員である小沢委員、服部委員が就任されています。この監査委員の方々が着実に監査をおこなっていくための事務局の職務の意義は極めて大きいと考えます。
そこで、きょうは、この監査事務局の体制について質問させていただきます。
まず、監査事務局の事業概要1ページには、定例監査は、都の事。
務の執行及び経営に係る事業の管理について、法令等の趣旨に沿って適正におこなわれているかを主眼とし、経済性、効率性、有効性の観点にも十分留意して、毎年1回以上実施すると明示されています。
そこで、実際にどのような体制で監査をおこなっているのか伺います。

仁多山芳範・監査担当部長 実際の現場でおこなう監査は、監査第一課から第三課と技術監査課の4つの課で対応してございます。
監査ごとに申し上げますと、本庁各部へは年1回、事業所へは2年1回を基本として実施する定例監査と、年間約150団体前後を対象しておこなっている財政援助団体等監査は、監査第一課から第三課が担当しております。
また、技術的な観点から実施する工事監査においては、技術職の職員で構成する技術監査課が年間を通じて各局の監査をおこなっております。
いずれの監査につきましても、対象局や対象団体の規模に応じた人員で対応しております。
そのほか、監査事務局が実施するものとしては、行政監査や住民からの請求による監査、各会計に対する決算審査など、各種監査、審査をおこなっております。

山下 ただいまのご答弁で、多くの監査、審査を実施していることがわかりました。
 そこで、これら多くの仕事を担う事務局の組織に着目しますと、事業概要の4ページにおいて、平成24年4月1日現在、職員定数89名という体制になっていることがわかります。
 東京都という大きな組織で、このような限られた人員配置によって、詳細にわたる検証、評価を進めてきたことについて、私からも高く評価させていただきます。
 平成18年度の決算から、東京都は独自に、国に先駆け、複式簿記、発生主義会計の考え方を取り入れた新たな公会計制度を導入しており、財務状況をより正確に把握し、都民への説明責任を果たすことが可能になったと言えます。
 こうした中で監査を実施していくには、事務局として、監査の質を一層向上させていくことが求められており、それには職員のさらなる能力向上が不可欠と考えます。
 そこで、職員の能力向上について事務局としてどのように取り組んでいるのか、伺います。

仁多山監査担当部長 監査の質を高めていくためには、個々の職員の能力を高めていくことが何よりも重要であると考えております。 通常のOJTや事務の指導等をおこなうほか、局として独自に次のような取り組みをおこなっております。 まず第一に、外部から公認会計士を任期つきで任用しております。 また第二に、内部にも公認会計士等の資格を保有する者を配置しております。 さらに第三に、簿記等の資格の取得の支援等をおこなっております。 また、転入者に対しては、研修の実施や事務を通じた指導育成等、組織一体となった取り組みにより、所属職員の能力向上に努めております。

山下 監査事務局に勤務する職員の皆さんの能力向上を図りながら、監査に臨んでいることがよくわかりました。
 その職員の皆さんの努力した結果として、先の第三回定例会に提出された監査報告書があります。この報告は、数多くの、また多岐にわたる指摘事項や意見、要望事項を公表する内容となっています。
 そこで、指摘事項及び意見、要望事項とは、それぞれどのようなものであるか、また、指摘や意見、要望を受けての各局の改善状況はどのようになっているのか、伺います。

仁多山監査担当部長 まず、指摘事項とは、該当事案にっいて是正、改善を求めるものでございます。
改善状況につきましては、たとえば平成23年の定例監査を見てみますと、指摘事項が77件、意見、要望事項が3件あり、そのうち指摘事項で53件、意見、要望事項で2件の改善がなされました。また、改善がいまだになされていないものも、各局に置いて改善に向け検討中あるいは対応中となっております。
先の定例会に報告いたしました平成24年の定例監査では、指摘事項が120件、意見、要望事項が6件となっており、各局の改善状況につきましては、平成23年定例監査の未改善部分とあわせ、現在取りまとめ中であり、第四回定例会に報告する予定で準備を進めているところでございます。

山下 指摘事項、意見、要望事項といった監査の結果が都政をよりよい方向へ導いていることがよくわかりました。
 監査が、金額という数字の確認にとどまらず、東京都の事業の是正、改善という領域にも踏み込む役割であるとすれば、事務局に勤務する職員の意識が適正な監査のための大きな要素であると言えます。
 監査事務局の職員の皆さんは、どのような意識で業務に取り組んでいるのか、伺います。

仁多山監査担当部長 監査委員は独立した執行機関であり、職員もそれを支えていくとの自覚のもとに業務をおこなっております。
監査に際しては、法や定められた手続きに準拠しているかを見る合規制の観点はもとより、事務の経済性、効率性、有効性の観点から検証、評価をおこなっており、監査を通じて都民サービスの向上に寄与することを図っております。

山下 ありがとうございます。
 監査によって明らかとなった都の事務事業の執行上の問題点を都民に対してわかりやすく示していくことは、都政の向上のために大変重要であると考えます。
 都みずからを律していこうとする監査委員、監査事務局の皆さんの取り組みによって、都民生活が向上し、日本の首都東京がますます発展することを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。

2012年11月15日(木) 総務委員会 事務事業質疑
人事委員会に対する質疑

山下ようこ副委員長 それでは私からは、専門的人事行政機関である人事委員会が所管する業務のうち、重要な柱である、採用試験、昇任選考について質問をさせていただきます。
  先日の総務委員会の説明を伺ったり、ここ数年の人事委員会勧告と報告を拝見しますと、都庁は、都に働く人を組織の基本ととらえ、非常に重視していると感じます。職員採用に関しては、勧告と報告の中で、可能な限り幅広い層から、様々な資質や能力を有する人材を採用し、採用した人材が都庁の高度な政策立案を支え、様々な行政課題に対応できるよう育成、活用していくという観点で取り組むべきであるとしています。
  そこでまず、都が職員として求める人材像について伺います。

芦田真吾 試験部長 都は、採用試験に当たりまして、求める人材像を明確化し、毎年度の採用ホームページや採用試験案内、職員採用セミナーなど、様々な機会をとらえて、受験者に周知を図っております。
  具体的には、日本の首都であり、あらゆる都市機能が集積し、時代変化がいちはやく、かつ集中的にあらわれる世界有数の大都市である東京の特性を踏まえ、首都公務員というキーワードのもと、次の4点を求める人物像としております。
  1つ目に、首都公務員にふさわしい高い志と豊かな感性を持った人材、2つ目に、進取の気性に富み、自ら課題を見つけ、進んで行動する力を持った人材、3つ目に、都民から信頼され、協力して仕事を進める力を持った人材、4つ目に、困難な状況に立ち向かい、自ら道を切り開く力を持った人材。これらを求める人材像としているところでございます。

山下 今後も、より能力のある人材が都庁の門をたたくよう、求める人材像を広くアピールしていただきたいと思います。
 ところで、職員を採用するための試験については、多様な能力を持つ人材の確保という目的に対応して、様々な試験パターンが実施されていると認識しております。
  都の実施する採用試験の具体的な区分について伺います。

芦田部長 職員の採用につきましては、大学卒業程度、短大卒業程度、高校卒業程度の各試験区分を設け、事務職、土木や建築等の技術職員を確保しております。中でも、大学卒業程度を対象とするⅠ類B採用試験は、本年度受験者が6008人、最終合格者1038人という規模であり、職員採用の中核的な位置を占めております。  一方、高度化、複雑化する都政の課題に対応していくため、これまで以上に幅広く採用市場全体から、様々な資質、能力を有する人材を確保することが求められております。 そのため、都では、専門職大学院などに対応した高度な知識、能力を持った人材を対象としたⅠ類A採用試験や、資金運用等、高度な専門的な知識、スキルが必要な分野について、年齢を問わず即戦力となる人材を対象としたキャリア活用採用選考を実施し、多様な人材の確保に取組んでいるところでございます。

山下 ありがとうございます。ただ今のご答弁で、都政の各行政分野におけるニーズに対応するため、大きな成長可能性を持った若者から高度な専門性を持った即戦力まで、幅広い採用メニューを揃え、実施していることがわかりました。
採用試験制度は、社会状況や採用環境の変化を敏感に読み取りながら、時
期を逸することのないよう、的確に見直しを行っていくことが重要であり、
これからも、採用試験結果の緻密な分析、検証のもと、制度の運営に努めていただきたいと思います。
 一方、採用した職員、つまり狭き門をくぐり抜け、晴れて都の職員となった人々が、その能力を発揮していくためには、いかに人材を育成するか、活用するかということが非常に重要なテーマであると言えます。
 先ほど来、取り上げている勧告と報告では、職員一人ひとりのキャリアを計画的に形成し、専門分野を拡大していくなど、強みを持つ人材の育成に一層努めるとともに、集団に対する個人、すなわち個に注目したきめ細かな人事管理が必要であると述べています。
 個への着目は、都政だけでなく、民間企業も含め、団塊の世代が続々と退職を迎える中、個人が、これまでのように集団の中のワンノブゼムとして扱われていた傾向とは異なり、少子化の中で一人ひとり大切に育てられてきた人々が世の中を担うという、社会的な変化を踏まえたものと私はとらえておりまして、都庁も、その変化に対応していこうというスタンスが見て取れると感じます。
 今後の人事制度のあり方については職業人としてのライフプランに複数の選択肢を設け、自ら選択することができるような仕組みづくりを考慮することもポイントであると考えます。この点に関しては、都は、管理職選考や行政専門職選考という2つの昇任選考システムを実行しており、これが職員のモチベーションアップに効果を上げていると聞きます。
 そこで、この2つの昇任選考のうち、まず管理職選考はどのようなものか伺います。

芦田部長 人事委員会は、学歴や採用時の試験区分にとらわれない、公平な昇任システムとして管理職選考を実施しており、管理職として都政を担う意欲と資質を有する人材を庁内のあらゆる部署から求め、的確な選抜、育成を図っております。
 選考には、主任級の若手職員を対象とした種別Aと、係長級、課長補佐級の中堅職員を対象とした種別Bを設け、職員が自らの希望で、どの職級からでも受験できるように配慮しております。
 さらに、筆記考査の一部科目の廃止や、技術士、公認会計士などの有用な国家資格保持者に対する一部科目の受験免除、一定点数以上の者についての翌年度以降の該当科目の受験免除など、様々な負担軽減の取り組みをおこなってきました。
 近年、選考の有資格者に対する受験率は徐々に上昇を続けており、受験しやすく、かつ競争性を確保した選抜が実施されていると考えております。

山下 わかりました。管理職選考は、都政を動かす基幹職員を選抜する大変重要な選考であり、この制度に対する職員の信頼も厚いと考えます。都庁の将来を担う有能な人材を選抜する機能を維持しつつ、職員がチャレンジしやすい仕組みづくりを今後も追求していただきたいと思います。
 一方、もう1つの昇任選考、行政専門職制度はどのようなものか伺います。

芦田部長 行政専門職は、情報システムや用地買収など、特定の行政分野に精通する職員の専門的知識と経験を組織として活用するため、専門職の管理職として設置された職であり、人事委員会が選考を実施しております。
 都は、本年度から制度を見直し、これまでの個別業務に係る専門区分に加え、たとえば、都立病院の経営戦略等の企画立案を担当する区分や、都立公園の防災対策機能を強化するための計画策定を担当する区分など、新たに政策分野において専門性を広く発揮する専門区分を設置いたしました。
 特定分野に加え、政策分野での専門性を持った人材が管理職にななる道を広げたことで、都政運営及び人材育成の両面で大きなメリットがあると考えております。

山下 ただ今のご答弁で、今年度からより幅広い専門分野への道が開かれたと聞き、職員が職務に取り組む意欲も向上し、都政としての専門性確保にも一層、大きな効果があらわれるものと考えます。
 今後の都政運営に当たって、能力のある人材を確保し、その人たちをどのように育成、活用していくかが非常に重要なポイントであるのは言うまでもなく、その骨格となる試験、選考制度は、時代変化や都政各分野のニーズに応じて柔軟に見直しを図っていくことが不可欠と言えます。
 人事委員会のなお一層の充実した取り組みに期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。