2013年3月15日(金) 総務委員会
総務局に対する質疑

山下ようこ副委員長 それでは、私からは報告事項に対し、多摩・島しょ振興について質問させていただきます。
 東京には二十三区とともにベッドタウンとして発展し、都市機能と自然環境が融合した多摩地区と海に囲まれ、行楽客などにとって貴重ないやしの空間となっている自然の恵み豊かな島しょ地域があり、それぞれの地域が相互に連携、補完し合って発展してきたことが首都東京の大きな強みでもあると考えます。
 都はこれまで平成十三年に将来の多摩の発展に向けた基本構想として、多摩の将来像二〇〇一を策定し、これに基づく多摩アクションプログラムなどの計画で施策を推進、また島しょ地域に関しては、昭和二十八年から過去五回、十年ごとに改正、延長された離島振興法に基づき、その都度策定した東京都離島振興計画に沿って振興策を進めてきたと認識しております。
 こうした中、都はこのほど新たな多摩・島しょ地域の振興の方向性を示す新たな多摩のビジョン及び東京都離島振興計画の素案を策定しました。
 そこで、この素案を踏まえて伺います。
 まず離島振興計画について。
 計画策定の根拠である改正離島振興法では、離島の国家的、国民的役割が明確に位置づけられています。そこで都は、伊豆諸島の担っている役割をどのようにとらえているのか伺います。

鴫原浩 多摩島しょ振興担当部長 伊豆諸島は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれ、都民、国民にとって、価値あるいやしの空間であるとともに、特色ある文化をはぐくんできた地域でございます。
 また、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から国益を維持する上で重要な役割を担っており、国家、国民的役割は大変大きいものがあると認識をしております。

山下 ただいまのご答弁を伺いますと、今回の計画素案の基本理念、定住促進と持続的発展は、国益を守るという非常に重要な論点からも大きな意義を持つことがよくわかります。
 では、この定住促進と持続的発展を進めるにはどうすればよいか。それにはやはり、島民が安心して暮らしていけることが何よりといえるでしょう。安心して暮らせる島なら、もともとの島民が島で暮らし続けるだけでなく、島への新たな移住者をふやすことにもなります。
 安全で安心な伊豆諸島。島々の魅力を高めるために、都はどのような施策を展開していくのか、伺います。

鴫原多摩島しょ振興担当部長 島民や島への移住者が安心して住み続けていくためには、生活の安定と島独自の魅力を高めることが重要でございます。
 そのため、港湾等の整備による交通アクセスの改善や医師等の確保による医療の充実、農業、漁業などの基幹産業の担い手育成などにより、島しょ町村と一体となって住み続けたい、移り住みたいと思える島の実現に向けて取り組んでまいります。

山下 続いて、新たな多摩のビジョンについて伺います。
 このビジョンでは、多摩地区を取り巻く課題を踏まえたこれからの多摩の方向性が示されています。そこで、ビジョン策定に当たっての多摩に対する都の基本認識について伺います。

鴫原多摩島しょ振興担当部長 多摩地域は東京の人口の三分の一となる四百万人の都民が暮らし、都市の利便性を有するとともに、豊かな自然環境に恵まれ、多様な魅力を持つ地域でございます。また、最先端産業や数多くの大学、研究機関が集積し、東京の発展の一翼を担う重要な地域でもあります。
 一方で、人口減少局面の到来や高齢化の進展など地域を取り巻く状況は大変大きく変化をしてきております。このような状況変化を転機ととらえ、地域の特性を最大限に活用した持続可能な魅力と活力にあふれた多摩を目指していくことが必要と認識をしております。

山下 この質疑の冒頭で、私は多摩地区はベッドタウンとして発展したと表現いたしました。つまり、東京にとっての多摩の相対的な位置づけは、住まう場所、暮らし息づく場所といえます。私自身、多摩で生まれ育った人間でございます。
 多摩の魅力は、一般的には都心部よりも自然に恵まれ、空気がきれいで、総じてゆったりとした住環境であることといえるでしょう。
 都心への通勤ラッシュにもまれながらも、帰宅したときにほっとできる空間、休日に安らぎの時間を過ごせる場所、さらに定年退職後に生きがいを持って暮らせる地域、元気で長生きできるまち、こんな多摩なら魅力的で、このような住環境の充実を図ることが理想であり、同時にそれが東京全体の底力をはぐくむことにもつながると考えます。
 そこで、都は今回の新たな多摩のビジョンにおいて、どのように多摩の住環境の整備を進め、魅力的な地域にしていこうと考えているのかを伺います。

鴫原多摩島しょ振興担当部長 多摩地域を取り巻く状況が大きく変化する中で、多摩が魅力と活力あるまちであり続けるためには、あらゆる世代が安全かつ快適に生活できるまちづくりを進めていくことが重要でございます。
 そのため、新たな多摩のビジョンの素案では、商店、医療機関、公共施設の集積など、あらゆる世代が安全かつ快適に生活できるまちづくり、学生や元気な高齢者の力を生かした地域の活性化、生涯を通じてスポーツを楽しめる環境の整備など、今後の進むべき方向性として明らかにしたところでございます。

山下 それでは、今回策定されたビジョンや計画に基づき、都は今後どのような体制で多摩・島しょのさらなる活性化に取り組んでいくのかを伺います。

鴫原多摩島しょ振興担当部長 多摩・島しょ地域を取り巻く状況の変化に的確に対応していくため、行政のみならず、地域にかかわるあらゆる主体の力を結集していくことが必要不可欠でございます。
 今後、本ビジョン及び本計画の方向性に基づき、庁内各局はもとより、市町村、地域の民間企業など、多様な主体と一丸となって施策の具体化に取り組んでまいります。

山下 ありがとうございました。  多摩・島しょを活性化するためには、それぞれが独自の地域資源を生かして発展していくとともに、都民全体が居住地の市区町村に限らず、多摩や島しょ各地の魅力を知り、そこに愛着を持つことが重要であると考えます。
 学校での教育も含め、多摩・島しょ地域の現状や魅力を多くの人が理解する機会をふやし、都民が同じ東京として、多摩・島しょに郷土愛を抱けるような環境づくりを進めていただきたいと思います。
 そのことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。