山下ようこ それでは、私からは水道局の広報への取り組みについて伺います。
通勤でJR中央線に乗っていますと、電車の中の映像媒体、トレインチャンネルで、「東京水」の広報ビデオを見ることがあります。水道局が広報宣伝に力を入れていることがよくわかります。
手元の決算説明資料によりますと、昨年度の普及宣伝費は9億円余りとなっています。
そこでまず、水道局は、現在、どのような方針で広報施策を展開しているのかを伺います。
水道局 吉野明 サービス企画担当部長 安全でおいしい水を安定的に供給することが水道事業の使命でございます。当局はこれまでも不断の努力をしてきております。
その結果、近年では、お客様から東京の水道はおいしくなった、という声を数多くいただいているところでございます。さらに、当局では、平成16年から安全でおいしい水プロジェクトを立ち上げ、高度浄水処理の着実な導入などの施策展開を図るとともに、お客様満足度のさらなる向上を目的として、安全でおいしい水への取り組みを積極的に広報しております。
山下 わかりました。顧客満足度のさらなる向上のために、というのが、広報の第一の目的ということですね。東京都民、およそ1,300万人。価値観も生活様式も多様化しているこの都会において、こちらの意図するものを的確にアピールしていくためには、さまざまな工夫が必要と考えられます。いくつかの方法を組み合わせることも、当然、必要になるはずです。
水道局は、私が先ほどお話ししたトレインチャンネルをはじめ、どのようなメディアを使って、どのように広報宣伝をおこなっているのか、伺います。
吉野部長 当局では、広くお客様に対して効果的な広報をおこなうため、目的に応じてさまざまな手法を活用しております。具体的には、水道水のイメージ向上を図るため、広報用映像を作成し、トレインチャンネルなどで活用しております。
また、多くの情報量を確実に伝達できるという紙媒体の特性を生かし、年4回「水道ニュース」を発行するとともに、即時性と言うインターネットの特性を生かし、ホームページや携帯電話サイトの運営をおこなっております。
そのほか、メディア以外の広報として、水道水のおいしさを体感していただくため、ペットボトル「東京水」をイベント等で配布しております。さらに、地域に密着した広報としまして、営業所等による水道何でも相談を実施してきております。
山下 確かに映像メディアを活用しての広報CMや文字による情報提供は有効な手段と考えられますが、実際に東京水を飲む機会を作る、という体感型の広報イベントも、効果がありそうです。
と言いますのも、実は私自身、都庁内の会議の際、東京水のペットボトルが提供され、飲んでみましたところ、とてもおいしいことを実感いたしました。
ですから、ただ今のご答弁の中にありましたペットボトル「東京水」の配布は、都民においしさを知らせる非常に簡潔な、わかりやすい方法と言えそうです。
そこで、昨年度の配布実績を伺います。
吉野部長 お客様に東京の水道水のおいしさを手軽に実感していただくことを目的に、ペットボトル「東京水」をイベント等で配布しております。また、購入をご希望するお客様のご要望にお応えするため、一部販売もおこなっております。昨年度の製造、配布数は、販売数の約4万本を含めまして、約37万本でございました。
これらは、水道週間行事や水道何でも相談等の地域イベントのほか、より多くのお客様に水道水のおいしさを体感していただくため、東京マラソンやジュニアスポーツアジア交流大会などの外部の大規模なイベントでも配布をおこなってまいりました。
山下 これまでのご答弁を伺い、水道局がさまざまな工夫を凝らして、安全でおいしい水「東京水」のアピールに取り組んでいることが、よくわかりました。
ただ、その一方で、普及宣伝費というのは、都民が支払った水道料金から運用しているわけですので、その効果の検証というものも必要です。
水道局は、広報施策の展開による効果をどの程度、把握しているのでしょうか、伺います。
吉野部長 お客様のご意見やご要望を把握するため、従前から、お客様満足度調査やインターネット水道モニターを実施しております。
昨年度実施しましたお客様満足度調査によりますと、たとえば、高度浄水処理の認知度は、平成21年度の38.2%から、22年度では48.3%へと10.1ポイント上昇しております。
また、飲み水としての水道水への満足度は、安全でおいしい水プロジェクト開始前の平成15年度の28.1%から、平成22年度には54.7%へと、ほぼ倍増しております。
山下 当初の目的である顧客満足度の向上という点で、広報施策の成果が、はっきりと表れているのがわかりました。
今後、メディアも人々の暮らしも、ますます多様化することが想定されます。費用対効果を常に念頭に置きつつ、それでいて、いかに効果を大きくしていくかが課題です。
これまでの広報の効果を踏まえて、今後、どのように普及宣伝に取り組んでいくのか、伺います。
吉野部長 当局では、これまでもお客様満足度調査やインターネット水道モニターアンケート等を通じまして、広報効果の把握に努めてまいりました。
さらに、メディアや手法の異なる個別の広報施策につきまして、施策への関心度、認知度、行動の変化といった共通の指標を用いて検証するなど、より有効な効果測定の方法を検討し、今後の広報活動に生かしてまいります。
山下 水道局は、安全でおいしい水を都民に提供し続けることが基本的使命であるのは言うまでもありませんが、それだけでなく、安全でおいしい、ということを広く知らせる、つまり都民にメッセージを送ることによって、人々の気持ちの中に、今度は安心感が生まれる、と言えるのではないでしょうか。
そのまま飲めるおいしい水が蛇口から出てくる。これは日本が世界に誇れるすばらしい文化です。安全でおいしい東京水を都民にアピールすることは、世界への情報発信にもつながるものと思います。これからも、適切で有効な普及宣伝の施策を展開されますよう要望して、質問を終わらせていただきます。