2012年3月21日(水) 公営企業委員会 事務事業質疑
水道局に対する質疑

山下ようこ それでは、私からは、まず、耐震継ぎ手化事業について伺います。
 東日本を襲った未曾有の巨大地震の発生から一年が経過しました。防災対策や耐震化に万全を期すにはどうしたらよいか。恐らく、日本人のほとんどだれもが、この一年、そのような思いを強めてきたのではないかと思います。
 こうした中、東京都水道局では、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を推進していると認識しております。この事業は、東日本大震災の発生前の平成二十二年一月に策定されていますので、耐震化に着目した水道局の意識の高さと的確なご判断を、改めて評価させていただきます。
 そこで、この耐震継ぎ手化に取り組むことになった経緯とその内容について伺います。

今井茂樹 給水部長 平成七年の阪神・淡路大震災では、水道管の継ぎ手の抜け出しによる被害が多数発生いたしました。そのため、これを教訓として、平成十年度から、この地震で被害のなかった継ぎ手の抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面的に採用してまいりました。この耐震継ぎ手管は、東日本大震災や新潟県中越沖地震においても被害はございませんでした。
 震災時は飲料水に加え、ふろ、洗濯やトイレなどの生活用水が何よりも重要であります。水道の一日でも早い復旧が求められております。このため、平成二十二年一月に策定した東京水道経営プラン二〇一〇において、これまでの水道管路の取りかえ計画を前倒しし、工事量を倍増させる水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を立ち上げ、鋭意取り組んでおります。

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山下 ただいまのご答弁にありましたように、昨年の東日本大震災でも、また、それより前の新潟県中越沖地震でも、耐震継ぎ手管では被害がなかったということですから、耐震継ぎ手化への取り組みが、いかに有効であるかがよくわかります。
 震災のときに、おふろ、洗濯、トイレといった生活用水が確保できる、あるいは水道の復旧が早まるということは、都民の日々の暮らしの安心感にもつながります。
 そこで、この耐震継ぎ手化事業の実施状況と、五百三億円が予算案に計上されている平成二十四年度の取り組みについて伺います。

今井給水部長 平成二十二年度末現在、耐震継ぎ手化率は二七%でございます。今後、平成三十一年度には、これを四八%まで向上させ、震災時における平常給水までの復旧日数を、三十日間から二十日間に短縮させるよう取り組んでまいります。
 また、平成二十四年度は、送配水の耐震強化等のため、お話のとおり、五百三億円の予算を計上し、三百二十キロメートルの取りかえ工事を予定しております。

山下 水道局が計画的に耐震継ぎ手化を進めていることがよくわかりました。引き続き、工事を着実に遂行していただきたいと思います。
 ただ、その一方で、先ほどのご答弁にありましたように、当初の予定の倍の工事を前倒しで行っているということは、道路工事の実施によって、別の意味の問題も生じる可能性があります。
 例えば、安全面--機材で土砂を掘る作業、トラックなどの往来で、作業員も通行人も危険と隣り合わせといえる場面もあるでしょう。工事の大きな音で車の接近に気づかなかったり、たとえ注意を促しても、その声が聞こえないということもあるかもしれません。それから、交通規制、通行どめになったり、片側交通になるなどで、ドライバーが不便に思うこともあるでしょうし、地域の住民が歩きにくかったり、あるいは工事の音で落ちつかないという声も上がるかもしれません。
 水道局では、工事の安全性の確保や付近の住民、ドライバーへの配慮など、工事の円滑な推進のためにどのような対応策を施しているのか伺います。

木村康則 建設部長 まず、工事の安全性の確保に向けまして、毎年度、水道局工事事故防止方針を策定し、重点対策事項を掲げ、事故防止に取り組んでおります。
 その中で、職員に対する安全講習会や施工業者と安全管理に係る連絡会などを定期的に開催し、安全意識の高揚と情報共有を図るとともに、現場パトロールなどを実施し、施工業者と協力して事故防止に努めております。
 また、地域住民に水道工事への理解を深めていただくため、工事に必要な効果などをわかりやすく解説したリーフレットの配布や、ホームページへの掲載などを行っております。
 個々の工事現場では、迂回路の案内など、わかりやすい看板の設置、現場見学会の開催などを通じ、地域住民のご理解とご協力を得られるよう努めております。
 また、当局では、このような施工業者の取り組みを促すため、周辺地域への適切な対応及び工事情報の広報について、すぐれた取り組みを表彰するイメージアップコンクールを実施しております。

山下 工事の円滑な推進のために、水道局が、さまざまな角度から対策を施しているのがわかりました。
 また、ご答弁の中にありましたイメージアップコンクールということでいえば、私の地元の青梅市の梅郷配水所の設備工事の際、工事担当業者の皆さんが付近の清掃作業を行い、それらが評価されて、このイメージアップコンクールの優良賞を受賞したと聞いております。付近の住民の評判もよく、コンクール設定の効果のあらわれの一つかと思います。
 そこで、水道局は、これまでどのようにこのイメージアップコンクールに取り組んできたのかを伺います。

木村建設部長 イメージアップコンクールは平成十七年度より実施しており、水道工事に関する地域への適切な対応や工事情報の広報について、すぐれた取り組みを実施した工事を表彰することで、工事関係者の意識の醸成を図ることを目的に行っております。
 コンクールの審査では、安全で円滑な工事の施工に当たっての適切な対応、工事の目的や内容等、わかりやすい広報、地域に配慮した環境対策などの取り組みに着目し、これまで、最優秀賞や優秀賞など、平成二十二年度までに七十六件を表彰しております。
 受賞した施工業者の取り組み内容につきましては、当局のホームページで公開し、施工業者間で共有化を図っております。
 また、コンクールの受賞は企業イメージのアップにもつながるため、各企業の水道工事のイメージアップの取り組みの強化に寄与しているものと考えております。

山下 このように、水道局が工事に対して評価を行っていることは、工事業者の皆さんにとっても励みになりますし、何より、工事における事故や、関係した交通事故などを防ぐという安全性確保の面で、大きな意味のあることと思います。
 おととい発生した埼玉県内のマンション工事現場での痛ましい幼児の死亡事故を例に出すまでもなく、安全性の確保、人の命を守るということは、すべてに優先されるものであるといえます。ただいまご紹介いただいたイメージアップコンクールや現在の取り組みにとどまらず、考えられるあらゆる手段を講じて、事故撲滅に取り組んでいただきたいと思います。
 その一方で、耐震継ぎ手化等、水道局の工事は、都民の生活や命を守るための大切な水を確保することを目的に行われるものですから、住民は、このことをきちんと認識し、安全性に問題がない限り、積極的に工事に協力する姿勢を示すことも必要と考えます。
 ところで、耐震化と並んで、今の日本で待ったなしといえるのが地球温暖化対策です。東京都では、環境確保条例に基づき、全庁を挙げて環境問題に取り組んでいますし、私が昨年十一月のこの公営企業委員会の事務事業質疑で、水道局の環境負荷低減に向けた取り組みについて質問した際、局からは、ポンプ設備等の省エネ化や、総合的なエネルギー管理による水運用の実施などにより、平成二十二年度実績で、およそ三千五百トンにも及ぶCO2を削減しているとの答弁をいただきました。
 環境確保条例では、都内千二百以上の事業所を対象に排出削減を義務づけていて、その中には、水道施設も含まれていると聞いております。
 そこで、具体的に、排出削減義務が課されている事業所数と削減義務量の数値を伺います。

黒沼靖 企画担当部長 環境確保条例におきましては、三カ年連続でエネルギー使用量が原油換算で一千五百キロリットル、これを超える事業所につきましては、特定地球温暖化対策事業所として指定することとなっております。平成二十二年度から二十六年度の五カ年におきまして、温室効果ガスの排出総量を削減する義務が課せられております。
 この指定を受けました当局の事業所といたしましては、浄水場及び浄水所で五カ所、給水所で八カ所、ポンプ所で三カ所の計十六事業所でございます。
 また、この事業所に課せられます二酸化炭素の削減義務量の合計は、五カ年で約四万トンとなってございます


山下 よくわかりました。ところで、環境確保条例には、地球温暖化対策の取り組みが特にすぐれた事業所を、トップレベル事業所として認定する制度もあり、東京都の水道施設でも、既に認定されているところがあると聞いております。認定された事業所の数と評価されたポイントについて伺います。

黒沼企画担当部長 環境確保条例では、お話のように、地球温暖化対策の取り組みがすぐれている事業所につきまして、二酸化炭素の排出削減義務率を軽減する制度が導入されてございます。この取り組みが、極めてすぐれた事業所、いわゆるトップレベル事業所でございますが、これに認定をされますと、計画期間内の削減義務率が二分の一に軽減をされます。
 現在、都内約千二百の対象事業所のうち、このトップレベル事業所として、民間事業者も含めまして、二十七の事業所が認定をされておりますが、このうち、都庁関連施設といたしましては、稲城ポンプ所を初めまして、当局の五つの施設が認定をされてございます。
 これは、当局が、本制度導入以前から、ポンプ設備の省エネ化や高効率照明導入といった事業に積極的に取り組みますとともに、水道局環境計画に基づきまして、局を挙げて省エネ推進体制を整備してきた結果と考えてございま
す。

山下 東京都水道局の先進的なすぐれた取り組みがよくわかりました。トップレベル事業所に認定されたからといって、それに甘んじることなく、引き続き、高いレベルの削減をお願いいたします。
 それでは、CO2削減についての平成二十三年度の達成見込みと、環境計画の最終年度となる平成二十四年度の取り組みについて伺います。

黒沼企画担当部長 当局ではこれまで、環境計画に基づきまして、再生可能エネルギーの活用や省エネ設備の導入などにより、二酸化炭素の排出削減対策を積極的に推進しており、平成二十三年度の目標値であります。約一千八百トン、これを上回る削減を達成できる見込みとなってございます。
 また、平成二十四年度におきましては、これまでの多様な環境負荷低減対策に加えまして、葛西給水所の小水力発電設備や高月浄水所の高効率ポンプの導入などの取り組みを進める予定でございます。
 引き続き、総合的な対策を推進し、三カ年の排出抑制量の六千トンを初めまして、環境計画で掲げる目標の実現に向け、着実に取り組んでまいります。


山下 CO2排出量削減や省エネ推進という地球規模の課題を解決するための取り組みにおいて、そして、工事の安全性確保という面においても、東京都水道局が他の事業者の模範となるような施策をこれからも行ってくださることに期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。